企業においては、社員向けに基礎的な知識や考え方を教えるための教育訓練プログラムが用意されています。
目の前の仕事に忙殺される中、教育訓練に時間を費やすのは少々面倒に感じることもあります。
教える側も教えられる側も、教育訓練よりも目の前の仕事を早く終わらせたいと考えがちです。
「教育訓練なんて金にならない、それよりも営業して製品売った方が金になる」なんて考える人もいるでしょう。
でも実際は、教育訓練というものは「急がば回れ」で、ビジネスで成果を出すためには極めて効率的でコスパ最高なのです。
ただしひとつ条件があります。
内容が正確であり実際の仕事に活かせるものである必要があります。
特に製造会社の工場なんかでは、驚くほど徹底した教育が行われています。
以前見学させてもらった工場では「道場」という教育エリアがあり、軍手のはめ方からヘルメットのかぶり方まで、徹底的に教育を行っていました。
とある製品を作っている会社の話です。
その製品は、組み立てた後に、サビを防止する塗料を塗ってから出荷します。サビてしまうと強度が落ちてしまい、壊れてしまう可能性があるからです。
塗料を塗る作業はベテラン作業員がやることになっているのですが、その塗料を作業場まで運ぶのは新人作業員がやっていました。
その新人作業員が間違えて違う塗料を作業場に運んでしまったのです。
塗料には何種類かあったのですが、新人はそれを知らなかったのです。棚にある塗料ならどれでもいいと思い込んでいました。
ベテラン作業員もそれに気づかずに、間違った塗料を使って製品を大量に作ってしまいました。
ベテラン作業員が途中で気づいたのですが、後の祭り。
作られてしまった大量の製品は、既にお客様に届けられていたのです。
工場の中に残っている製品は当然すべて廃棄処分ですが、もっと大変なのは、お客様に届いてしまった製品です。輸送中のものもあります。
これらをすべて回収して、作り直した製品に交換しなければならないのです。
いったいこの会社はどれだけのお金と時間、そして信用を失うのでしょうか?
この新人作業員が仕事に、たった一言、
「この棚の塗料はいくつか種類があるから気を付けてね。えーとね、これが・・・」
と説明しておけば、このような大ごとにはならなかったのです。
教育訓練というのは、不測の事態が起こることを考えると、時間もコストも極めて効率がよいということが、おわかりいただけると思います。
教育訓練と言えば、外部のコンサルや教育プログラムを使うケースもあります。
私の会社でもあります。
『戦略的思考研修1日コース』とかそんな講座がたくさん用意されています。
このような外部のコンサルが作った教育プログラムは内容が一般的であり、その内容が自分の実際の仕事となかなか結び付きません。
内容は間違っていませんが、かゆいところに手が届かないというか・・・とにかく実践でなかなか使えないのです。
全否定はしません。外部コンサルの教育訓練では、なかなか知り得ない情報や、競合会社の話なんかも聞けたりしますので、とてもおもしろいこともあります。
とはいえ、最近はYoutubeでも教育訓練や外部情報に関する秀逸な動画が多数流れていますので、それを見るだけでもかなり勉強になるように思いますが・・・
基本的には、教育訓練は自前でやるのがよいでしょう。
見ず知らずのコンサルタントが教壇に立つよりも、実際に仕事をして実体験をベースに講義をしてくれる上司や先輩の方が説得力があります。
教える側にしても、教えることによる自分自身の学びは計り知れません。
学ぶためには教えろ、です。
また自分が教えたことを部下が実践し、仕事がうまくまわせている姿を見るのは、本当にうれしいものです。
自前の教育訓練は、一粒で二度も三度もおいしいのです。
そして、そんな自前の教育訓練に、私のサイトをご活用いただければ幸いです。
いくらでもパクってください