管理職として仕事をうまく回すには「指標」(インジケーター)が大切です。
「指標」とは、ある状況を数字で測定したものです。
「ものさし」という言い方もします。
ちょっと難しい言葉では「KPI」とも呼ばれています。Key Performance Indicatorの略で、直訳すれば「重要業績評価指標」です。
難しく聞こえるけど・・・「東京オリンピックまで後〇〇日!」も指標と言えば指標かな
モノづくりにおいてよく使われる基本的な「指標」はこの5つです。これは製造業における基本中の基本です。
① 販売予測:どのくらい売れそうか?そのためにどのくらい作ればいいのか?
② 材料の在庫量:どのくらいあるか?今日作る分だけの在庫はあるか?
③ 生産設備の状態:設備は調子よく動いているか?壊れたときの予備部品はあるか?
④ 作業員(社員)の状態:みんな出勤してるか?各自の力量はどのくらいか?
⑤ 仕事の質:お客様のクレームはあるか?品質不良は発生していないか?
これはあくまで最低限の「指標」であり、実際の私たちの仕事には数えきれない指標が存在します。
例えば、「部下の有給取得状況を管理する」という仕事ひとつ取っても、たくさんの「指標」が思いつきます。
・有休取得日数
・有休取得予定日数
・有休取得計画の作成率(何人中何人がちゃんと計画を作っているか)
・計画有休取得率(計画に対してどのくらい実際に有休が取れているか)
・平均有休取得日数
・平均有休取得日数との乖離率(部門平均に対して各自の状況はどうか)
切りがありませんね。
どの「指標」を選択するのか?は、管理職の腕の見せ所でもあり、人それぞれのマネジメントスタイルそのものであると私は考えています。
管理職によって、何を重視するか?この指標で何を実現するのか?によって、選ぶ「指標」は変わってきます。
「指標」を持つことによって、みんなこれに注目するようになります。そして、その「指標」を意識して仕事をするようになりますので、組織を自分の理想とする方向に向かわせる一助となるのです。
そして「指標」は、「未来を予測するための先行指標」としての使い方もできます。
問題を早めに発見して解決するために「指標」は必須なのです。
「指標」がいつもと違う傾向や異常値を示したときは、何か問題が発生する可能性ありです。
たとえば、有休の取得率が低下してきた場合は、みんな仕事が忙しくなってるのかもしれません。その状態で放置しておけば、ひどい場合は精神的に追い込まれる人が出てくるリスクもあります。
とはいえ、あまりに多くの「指標」を持ち出してしまうと、訳が分からなくなるので注意が必要です。
たまにいるんですよ。「指標マニア」の管理職が・・・
職場の壁一面に無数のグラフや表を掲示してある。でも字は小さくて虫眼鏡が無いと読めない。汗水流して現場で働いている従業員が、いちいち足を止めてそんなの見ないですよね。
まだ管理者本人がその「指標」を活用しているならマシですが、ひどい場合は本人が活用していないケースです。データを使ってグラフ作って壁に貼って、それで満足しちゃうんですね。
目的と手段を間違えるタイプのダメな管理職だね!
気を付けなければならないことは、「指標」は数値で表せるものにする、ということです。
よく見かけるダメな業務計画書や進捗表は、タスクや仕事を「やったか、やってないか」だけで管理するタイプです。
みたいなやつです。こんなのを見かけたら作った人を質問攻めにしましょう。
○だから何なの?やったからどうなの?
何かいいことあるの?すごいことなの??
もう少しマシなのがこれ。「やったか、やってないか」よりは多少は進み具合がわかります。
正解はこれです。
具体的なアクションをやったことにより、どのくらいの成果が出ているのか、を表記しています。つまり、これは「仕事の質」を表しています。
「指標」は「数値」と「仕事の質」をセットで見てこそ意味があるのです
もうひとつ、この「指標」の重要な使い方があります。
それは、他の組織と比較できるということです。
これをうまく使えば、他の組織に対する競争意識を持たせることができます。個人でも同様です。
また、他の組織の「指標」を見ることにより、会社全体や競争相手の状態を把握することもできます。
管理職としては、目を皿にしてチェックすべきなのです。
信頼のおけるしっかりとした「指標(ものさし)」をつくり
問題の把握と対応は早め早めに!ということですね!