ミーティング(会議)は管理職がアウトプットを出すための最良の手段であり、まずはその目的や進め方を理解することが大切です。管理職の役割は「情報収集と意思決定」です。よってミーティングは「情報収集が目的のミーティング」と「意思決定が目的のミーティング」に分類されます。そして「意思決定が目的のミーティング」は、無いにこしたことはない、必要悪とも言えるミーティングなのです。『HIGH OUTPUT MANAGEMENT』を参考に、ミーティングのあるべき姿を深堀します。

「会議」と「ミーティング」の違いなんてどうでもいい話

「会議」という言葉にはあまりいいイメージはありませんね。

重たい議題、時間のムダ、結論が出ない・・・

「ミーティング」と呼べば、もう少しポジティブな印象があります。

軽い話題、短時間、自由な発言・・・

絵にするとこんなイメージではないでしょうか?

一般的に「会議」とは何かしらの結論を出す場、「ミーティング」はとりあえず意見や情報を交換する場、というイメージだと思います。

でもこれはあくまで人のイメージです。

『会議とミーティングの違いとは?』みたいな話もありますが、私に言わせればそんな言葉の定義はどうでもいい話です。ただの言葉遊びです。

会議もミーティングも「人と人の交流の場」という意味ではまったく同じもので、その「交流の場」をいかにうまく活用し、アウトプットを出すかどうかが重要です。

とりあえずこの記事では、「ミーティング」と呼ぶことにします。そちらの方が印象が良いからです笑

別記事で、管理職の重要な役割は、「情報収集と提供」「意志決定」そして「ナッジング」である、とお話しました。

管理職がこの重要な役割を果たすための最も有効な手段こそ「ミーティング」です。

『HIGH OUTPUT MANAGEMENT』ではこの役割によって、ミーティングを下記のように分類しています。

はぶて顔

ミーティングを分類して何か意味あるの?

その「目的」で分類することによって、それぞれのアウトプットがより理解しやすくなります。

青葉

私もミーティングの実用的なコツが説明がしやすい笑

ではそれぞれのミーティングについて解説します。

情報交換が目的のミーティング

このミーティングは、招集する側にとって重要でも、招集される側はめんどくさく感じる場合もありますね。

でも管理職はまわりの機嫌を取ることが本業ではありません。

自ら必要だと思うのなら、遠慮なく実施すべきです。

青葉

チームのためにも情報交換は積極的に!

ワン・オン・ワン(One on One)

これは部下との1対1のミーティングです。「個人面談」ですね。

ちなみに、あなたの職場ではやっていますか?

私の会社では、3か月に1回、部下とワン・オン・ワンをすることが義務付けられています。

これは、年間の個人業務目標の策定、実績のフォロー、半期ごとの業績評定のフィードバックなどが目的となっています。ついでに、いろんな困りごとや愚痴なんかも聞いたりします。

私の場合は基本的には1人30分程度で実施しています。

ワン・オン・ワンはわりとどこの会社もやっていると思います。

ところが、『HIGH OUTPUT MANAGEMENT』で推しているワン・オン・ワンは、週に1回、最低1時間と、なかなか過酷なことを求めています。

時間がそれ(1時間)以下の場合に、部下が持ち出してくる問題は、すばやく取り扱える簡単なものにおのずと限定されがちである。

青葉

うーん、確かにそう思うけど・・・

私の部下は20名です。週に1回1時間だと・・・毎日4時間ワン・オン・ワンです。ムリムリ笑

週に一度であれば、1日1時間、まあ5人くらいが限界かな、とも思います。

私は週一ペースまではやる必要ないと考えています。

理由は2つ。

『HIGH OUTPUT MANAGEMENT』が書かれたのは1983年で、メールやパソコンの無い時代です。今とはコミュニケーションの方法がまったく違う時代です。

それと、著者のアンディ・グローブが働いていたのはアメリカのインテル社。私も勤務経験のあるアメリカ企業。管理職には個室が与えられることが多いです。個室ではないにしろ、衝立(ついたて)で部下と仕切られているのが一般的です。

しかし日本の企業では、中間管理職は部下と机を並べて仕事をするケースが多いと思います。部下とも日頃から気軽に会話ができます。

日本の企業では、週一でひとり1時間のワン・オン・ワンというのはやり過ぎな気がします。

かしこまってワン・オン・ワンをやるよりも、普段から部下全員に気を配り、誰ひとり取り残すことないように日々全員と会話することを、私は重視しています。

とはいえワン・オン・ワンが重要なのはアメリカも日本も変わりありません。

だから頻度を気にするよりも、その目的と正しい方法を理解することが先です。

まずワン・オン・ワンで大切なことは、この会議の主役は部下自身である、ということです。

議題を決めるのも、会話をリードするのも部下の役割です。そうなるように上司が働きかけるのです。

上司が自分のペースで一方的に話してはいけません。それじゃ意味がありません。

上司が気持ちいいだけです。

議題は、とにかく重要なこと、部下を苦しめていること、なんかヤバくなりそうなこと、そんな話題を部下から引き出すのです。

ところがこれがなかなか難しい。

疑念の顔

下手に相談すると宿題になって返ってくるから、あんまり上司に言いたくないな

そんな部下もいます。私も相手によってはそうです。

経営学の巨匠、ピーター・ドラッカーもこう言ってます。

時間の使い方のうまい管理職は、自分の問題について自分のほうから話しはしないが、部下に問題をどう話させるかは知っている。

部下の抱えている問題を引き出すには、「なぜ?」を繰り返して、部下の仕事を深堀りしていくのがよい方法です。

しつこく「なぜ?」を繰り返していたら、ポロっと本音が出てくることがあります。それを見逃さずに、しっかりと拾うのです。

あるいは、

「ああ、それってこういうこと??」

「たしかにそうだよねぇ・・・」

「そうそう!そういうこと!」

なんて共感しながら、こちらからアプローチをかけてみるのです。

私が管理職になったばかりの頃、ある先輩から教えてもらった言葉が、今も私のマネジメントの基本となっています。

見てほしい 聞いてほしい 知ってほしい

これは、部下の本音を表現していると言われています。たとえ上司に対して口数少ない部下だったとしても、心の奥ではこのように考えているんだ、と常に意識しています。

会話の中では、

「あれ、いつも〇〇なのにどうしたの?」

とか、いつもちゃんと見てるよ!的な言葉もしっかりかけてあげましょう。

これで「見てほしい」に応えるわけです。

普段からロクに部下のことも見ていないのに、「なんでも話してくれ!」と、都合よくいい上司ぶってもダメです。

また見ていたとしても、それをちゃんと口に出してあげないとダメです。部下は上司にとって都合のいい超能力者ではないので、ちゃんと言葉にしないと伝わりません。

部下を見てない上司に聞く権利はありません。部下も話す義理はないのです。

ワン・オン・ワンでは、上司の資質や技術が問われるのです。

職場内の定例ミーティング

これもどこの会社や組織にもありますね。

私の場合は、私の事業部に所属する管理職だけの定例ミーティングと、私のチーム内での定例ミーティングが、それぞれ毎週あります。

この定例ミーティングは、主催者、つまり出席者の中で一番偉い人の手腕が問われます。

ひどいのは、連絡事項を棒読みして終わるミーティングです。そんなのはメール送れば済むことですね。

メールで済みそうなただの連絡事項を、口頭で通達した方がよいケースもあります。

伝えた後のみんなの反応が見たい場合です。これはメールを送り付けるだけではできません。

少しでも様子が変わった人がいれば、すぐさまその場で意見を求めることができます。

個人的にチームミーティングの一番の楽しみは、部下や同僚の意見がぶつかり合うシーンが見れることです。

司会者である上司は、積極的に部下が発言し、それに対してまた他の部下が発言するように、司会進行し煽るのです。

もちろん、本気のケンカになってはいけませんから、そうならないような仕切りも必要です。

最後はキレイにまとめて、ミーティングを時間通りに終わらせる。これも司会者の仕事です。

バラエティ番組の「MC」を務めているタレントや芸人は、管理職の資質ありですね。

他部門との定例ミーティング

この会議も、まあどこの会社でもよくある会議ですね。

自部門の定例会議と比べると、盛り上がりに欠けることが多いです。

他部門の人相手には、お互い遠慮してしまうからです。

ただ、管理職の情報収集という目的においては、職場のミーティングよりも得るものは多いです。

管理職は自部門のことだけではなく、つねに会社全体の状況を気にして行動しなければなりません。

他部門とのミーティングではその仕事内容について理解できるだけではなく、他部門の上司と部下の人間模様もよくわかりますし、何より、普段あまり接することのない他部門の人たちのキャラや力量がわかるのです。

(この若手社員、使えそうだな・・・仲良くしとこ・・・)

私は会議中によくそんなことを考えています。

特に経営者に近い部門の人、たとえば経営企画部みたいな部門の人からは、思わぬ裏情報が得られることも少なくありません。

そんな情報を自部門に「おみやげ」として持って帰ると、まわりに喜ばれます。

意思決定が目的のミーティング

「意思決定が目的のミーティング」は、いわゆる、みなさんが「会議」という言葉から想像する「会議」のことです。

『HIGH OUTPUT MANAGEMENT』の定義では、このミーティングは定例ではなく、何か特別な目的のために臨時的に開催されるミーティングとなっています。

例えば、トラブルが発生したときの緊急対策ミーティングですね。

このミーティングでは情報交換もしますが、とにかく即断即決することが求められます。

どんなミーティングよりも、司会者の手腕が問われます。多くの参加者は、自分の意見を押し付けたい、責任逃れしたい、など様々な思惑を持って参加しているわけです。

意思決定をするミーティングなので、出席者もそれなりの役職者が出てきます。彼らの時給を考えれば、かなり高コストな会議です。

司会者は、その目的をしっかり理解し、議論を仕切らなければなりません。1秒足りとも無駄にはしたくないですね。そして1回で終わらせること。

参加者を選定するのも司会者の役割になります。その問題がどういうものなのか、どこの誰を呼べば十分な情報が集まり意思決定ができるのか、をしっかりと考えなければなりません。

目的や議論の内容も考えずに、とりあえず声かけてみよう、と集められたメンバーでは、ミーティングの目的を達成することはできないでしょう。

「みんな宿題を持ち帰って、もう一度集まりましょう!」となるのがオチです。

また、「意思決定が目的のミーティング」の司会進行は、部下に任せるべきではありません。

仕切るには高度な技術と度量が求められますので、上司が部下にいいところを見せるチャンスでもあります。

『HIGH OUTPUT MANAGEMENT』にはこのように書かれています。

理想的に言えば、臨時の突発的な意思決定のためのミーティングは招集しないにこしたことはない。万事がスムーズにいっていれば、定期的なミーティングですべて面倒を見られるはずである。

ピーター・ドラッカーは、時間の25%以上を会議で過ごすようなら、それは組織不全の兆候だと言っている。私ならこう言いたい。

「組織不全の真の兆候は、人が25%以上の時間を、臨時に開かれる意思決定が目的のミーティングで過ごすときに現れる」と。

この「意思決定が目的のミーティング」は必要悪だと言っているわけです。無いに越したことはないと。

日々環境が変化するビジネスの現場では、それはキレイごとにしか聞こえませんが、発生が予測される課題は日常業務の中で予測し、日常業務の中で消し込んでおくのが理想ですね。

つまり「業務の日常化」です。

日常化できる仕事はどんどん日常化してリソース(人、モノ、金)のムダを減らし、浮いたリソースは会社の重要課題に振り向けていくべきなのです。

高コストな「意思決定が目的のミーティング」にかける時間はなるべく減らし、偉い人にはもっと前向きな仕事に注力してもらうべきです。

そのためには中間管理職の存在、その力量がキーとなるのです。

 

この記事で使っている教科書はこちら

『HIGH OUTPUT MANAGEMENT』
アンドリュー・グローブ(元インテル会長)著
シリコンバレーの巨人が贈る世界最高のビジネス本