「ワン・オン・ワン」ミーティングとは部下との1対1の面談のことです。
15年ほど前になりますが、私がアメリカの某大企業で働いていたときに、「ワン・オン・ワン」ミーティングというものを知りました。
アメリカではずっと昔から普通にやっているミーティングスタイルで、最近は日本の企業でもよく聞くようになってきました。
私の会社では、3か月に1度、部下とワン・オン・ワンをすることが義務付けられています。
これは、個人の業務目標策定、業績のフォロー、評定結果のフィードバックなどが目的となっています。
また私の裁量で実施しているワン・オン・ワンもあり、これは自分の直属部下(次長、課長クラス)と週に2回実施しています。
こっちは日頃の困りごとや愚痴聞き、雑談のようなものです。
私の場合は基本的には1人30分程度で実施しています。
週に2回も実施している理由は、お互い忙しくてなかなか会話をする時間が取れないからです。
定例でセットしておけば、その時間は必ず会えますので。
ワン・オン・ワンで大切なことはこれだけ。
議題を決めるのも、会話をリードするのも部下の役割です。そうなるように上司が働きかけなければなりません。
上司が自分のペースで一方的に話してはいけません。
ダメ出しを延々としたり、過去の武勇伝を語ったり、それじゃ意味がありません。
上司が気持ちいいだけの「ムダな時間」となります。
苦労していること、気になっていること等の話題を部下から引き出す必要があります。
ところがこれがなかなか難しい。
下手に相談すると藪蛇になりそうだから、あんまり上司に言いたくないな
そんな部下もいます。私も相手によってはそう思うこともあります。
経営学の巨匠、ピーター・ドラッカーもこう言ってます。
部下の抱えている問題を引き出すには、「なぜ?」を繰り返して、部下の仕事を深堀りしていくのがよい方法です。
しつこく「なぜ?」を繰り返していたら(追い込むような問いかけはダメですよ!)、ポロっと本音が出てくることがあります。
それを見逃さずに、しっかりと拾うのです。
あるいは、
「ああ、それってこういうこと??」
「たしかにそうだよねぇ・・・」
「そうそう!そういうこと!」
なんて共感しながら、こちらからアプローチをかけてみるのです。
私が管理職になったばかりの頃、ある先輩から教えてもらった言葉が、今も私のマネジメントの基本となっています。
この言葉は、部下の本音を表現していると言われています。
実際、部下がどう思っているかはわかりませんが、私は日頃から、
(たとえ上司に口数少ない部下でも心の奥ではこう思っているんだ)
と常に意識するようにしています。
会話の中では、
「あれ、いつも〇〇なのにどうしたの?」
とか、いつもちゃんと見てるよ!的な言葉もしっかりかけてあげましょう。
普段からロクに部下のことも見ていないのに、「いつでもなんでも相談してくれ!」と都合よくいい上司ぶってもダメです。
自分がいい上司になったつもりで気持ちよくなっているだけです。
また見ていたとしても、それをちゃんと口に出してあげないとダメです。
部下は上司にとって都合のいい超能力者ではないので、ちゃんと言葉にしないと伝わりません。
部下を見てない上司に、部下の話を聞く権利はありません。
部下もそんな上司に話す義理はありません。
ワン・オン・ワンでは、上司の資質や技術が問われるのです。