【実例あり】管理職の視点から「会議のコツ」を解説|こんな会社は危険!

とある調査で、

会社員の会議に費やす時間は1日1~2時間程度で、年間500時間程度

というデータを見たことがあります。

1日8時間働いている人が毎日2時間の会議をした場合、サラリーマン人生の4分の1は会議をしていることになりますね。

「会議」と言っても様々なパターンがありますので、この調査で会議をどのように定義したのかよくわかりませんが、会社員はかなりの時間を会議に使っていて、会社も会議にかなりのコストを払っていることは想像できます。

 

そんなサラリーマン人生の一部である「会議」ですが、その言葉にあまりいいイメージはありません。

「今日は朝から晩まで会議だったよ」

と言えば、愚痴っぽく聞こえますが、

「今日は朝から晩までミーティングだったよ」

と言えば、一日頑張って働いた感がありますね。

 

呼び方はさておき、会議もミーティングも「組織におけるコミュニケーションの場」という意味ではまったく同じもので、その場をうまく活用して仕事を進め、アウトプットを出すことが重要です。

「ムダな会議」は無くしてしまうか、あるいは「ムダじゃない会議」にしなければなりません。

効率的な会議の運営方法

「効率的な会議の運営方法」で世間一般でよく言われていることは、以下のようなポイントかと思います。

会議運営のポイント
会議の前に目的とアウトプットを明確にして、参加者全員で共有しておく
会議資料は可能であれば事前配布しておく
参加者は必要最低限に絞り、それぞれの参加者が自分の役割を自覚しておく
司会進行の担当を決めてタイムコントロールをしながら会議を進める
会議での決定事項(いつまでに誰が何をするか等)を明確にしておく

ある程度の経験を積んだビジネスパーソンであれば聞いたことがあるものだと思います。

でもこれがちゃんと出来ているかと言えば、なかなか現実は難しいものです。

「知識」としては理解できますが、「胆識(たんしき)」にならない。

管理職の視点からみた「会議の種類」

会議にもいろいろあります。

例えば部下と2人きりで1時間ほど仕事の相談をした場合。

これは会議なのでしょうか?それともスモールミーティング?

じゃ相手が部下じゃなくて取引企業の人だったら、これは会議?商談?

 

会議の定義や分類は様々で、その会議をどのように呼ぶかは会社や人によってそれぞれです。

「会議とミーティングの違いは?」みたいな話もありますが、仕事で成果を出すためには何の意味もない話なので、呼び方は気にしないようにしましょう。

 

この記事では、管理職の視点からそれぞれの「会議のコツ」について解説するために、以下のように会議を分類します。

● 情報交換が目的の会議
⇒ 職場内の定例会議
⇒ 他部門との定例会議

● 意思決定が目的の会議

 

「情報交換」が目的の会議

情報交換が目的の会議は、「定例会議」と呼ばれるもので、上司が招集するケースが多いと思います。

招集する上司にとって重要でも、招集される部下にしてみればめんどくさく感じるものです。

世間で「ムダな会議」と呼ばれているのは、この情報交換が目的の会議ではないでしょうか。

でも管理職は部下の機嫌を取ることが仕事ではありません。

部下にどう思われようと、組織のために必要だと思えば遠慮なく実施するべきです。

ただしやり方には注意しないと、招集した上司も招集された部下も時間をムダにすることになります。

 

情報交換が目的の会議には、「ワン・オン・ワン(1 on 1)」もありますが、こちらは「会議」というより「面談」と呼んだ方がいいかもしれません。

職場内の定例会議

これはどこの会社や組織にもありますね。

私の場合は、私の事業部に所属する管理職だけの定例会議と、私のチーム内での定例会議が、それぞれ毎週あります。

この定例会議は、主催者、つまり出席者の中で一番偉い人の手腕が問われます。

ひどいのは、連絡事項を棒読みして終わる会議です。そんなのはメール送れば済むことですね。

「ムダな会議」と部下に叩かれます。

定例会議は情報「交換」が目的であって、情報「提供」が目的ではありません。

 

でも、メールで済みそうなただの連絡事項を、口頭で通達した方がよいケースもあります。

伝えた後のみんなの反応が見たい場合です。これはメールを送り付けるだけではできません。

少しでも顔色が変わった人がいれば、すぐさまその場で意見を求めることができます。

 

主催者である上司が、延々と演説をする会議も「ムダな会議」ですね。

どんなにいいことを言っていても、どれだけの部下が真剣に聞いてくれるのでしょう。

聞くふりをしながら他の事を考えたり、パソコンのメールを処理したり・・・

司会者である上司は、積極的に部下が発言し、それに対してまた他の部下が発言するように、司会進行し煽り続けなければなりません。

 

それを頭では理解していて、みんなに意見を求めてはいるけど反応が薄く、逆切れする上司もいます。

「みんな黙ってないで積極的に話そうよ!」

これは司会がヘタクソだからこうなっている訳で、それを部下のせいにするなんてとんでもない話です。

100%上司が悪い。

バラエティ番組の司会者だったら、即降板でしょう。

 

個人的に職場内の定例会議の一番の楽しみは、部下や同僚の意見がぶつかり合うシーンが見れることです。

もちろん、本気のケンカになってはいけませんから、そうならないような仕切りも必要です。

最後はキレイにまとめて、会議を時間通りに終わらせる。これも司会者の仕事です。

 

職場内の定例会議は、忙しいメンバーが必ず顔を合わせるとても重要な時間です。

主役は司会者である上司ではなく、職場のメンバーです。

連絡事項を伝えるのはいいですが、伝えて終わりではなく、伝えた後にみんながどんな反応を示すかをしっかり観察すること。

そして、ひな壇芸人である職場のメンバーが「売れる」ようにいじること。

バラエティ番組の名司会者から学ぶことができるはずです。

他部門との定例会議

この会議も、どこの会社でもよくある会議ですね。

自部門の定例会議と比べると、盛り上がりに欠けることが多いかもしれません。

他部門の人相手には、お互い遠慮してしまうからです。

 

ただ、管理職の情報収集という目的においては、職場のミーティングよりも得るものは多いです。

管理職は自部門のことだけではなく、つねに会社全体の状況を気にして行動しなければなりません。

他部門とのミーティングではその仕事内容について理解できるだけではなく、他部門の上司と部下の人間模様もよくわかりますし、何より普段あまり接することのない他部門の人たちのキャラや力量がわかるのです。

(この若手社員、使えそうだな・・・仲良くしとこ・・・)

私は会議中によくそんなことを考えています。

特に経営者に近い部門の人、たとえば経営企画部みたいな部門の人からは、思わぬ会社の裏情報が得られることも少なくありません。

そんな情報を自部門に「おみやげ」として持って帰ると、部下に喜ばれることでしょう。

他部門との定例会議は、盛り上がりにかけて眠たくなるような会議も多いのですが、私は積極的に出るようにしています。

他部門に聞いてみたいこと、知りたいことは山程ありますので、議題がショボくてもその場でいろいろ質問してみれば、会議を盛り上げるのは簡単です。

遠慮するよりも、自分勝手にワガママに質問ばっかりすればいいと思います。

すべては自分の好奇心を満たすためと、部下への「おみやげ」を用意するためです。

(実例)2年かけても成果が出ない会議

ここで私の体験談。

「ムダな会議」というのは、出席者自身がそう感じることが多いと思いますが、出席者がムダだと思っていないのに、実は「ムダな会議」だった、というケースです。

そんな会議に私は途中から参加したことがあります。

「部門をまたがる業務プロセスの見直し」が目的の定例会議で、関連部門の代表者10名程度が週一で集まって協議をしていました。

ところが・・・2年ほど継続していたのですが、まったく成果が出てこない。

担当役員から私に「いい加減ケリをつけてくれ!」と潜入命令が出たわけです。

実は私も、この2年も成果が出ない会議の存在は知っていたのですが、直接私の業務とも関係がなかったので見て見ぬフリをしていたんですよね。

その天罰が下ったのかもしれません。

 

まずは100枚近くある議事録や関連資料をすべて読み込んでみました。

なぜかこの成果が出ない定例会議は、議事録だけは詳細にきっちり作られていたんですよね。

議事録を見る限りでは、毎回ちゃんと議題や宿題事項も明確になっていて、参加者も積極的に発言して盛り上がっている様子が伺えました。

それなのに2年経っても成果が出ない。

すべての議事録を読み終わって、その理由がわかりました。

 

定例会議がスタートした当初はそれなりに検討が進んでいたのですが、数ヶ月経った頃に大きな壁にぶち当たったんです。

メンバーで何度話し合っても解決策が出なかった。

しかもこの会議は、主催部門が議事録係として若手をひとり参加させているだけで、会議を仕切る人間も不在でした。(議事録だけは立派なものが残っていたのは、このまじめな若者がずっと頑張ってくれたおかげです)

各部門からの参加者は課長クラスなので、若手に仕切らせるのは少々酷です。

各部門の代表者は課長クラスなので、それなりに仕事のできる人たちだったのですが、全員がほぼ同格であったため、強烈なリーダーシップを発揮する人はいませんでした。

みんな積極的に発言するのですが、意見がすれ違ったときにお互い遠慮して、結論が出せないのです。

そこからだんだんおかしくなってきました。

「部門をまたがる業務プロセスの見直し」という木の幹である大きなテーマから逃げるように、枝や葉っぱの議論に集中するようになってしまったのです。

「この業務に使っている帳票はいつからどんな目的で作られたのか」

「新たに必要となるフォローシートの項目には何を記入すべきか」

といった小さな話ばかりするようになりました。

みんながみんな、自分ができること、手を動かせることだけやって、それを定例会議で報告し、仕事をしたつもりになっていました。

だからこの定例会議は、決して沈黙の会議ではなく、それなりに毎回盛り上がっていたのです。

主催部門から参加していた若手も、議事録を作ることが自分の使命だ、とばかりに立派な議事録を作ることだけに全集中していました。

彼の上司も丸投げしていて、どうも議事録すらロクに見てなかったようです。(こいつには後で制裁を加えておきました)

 

始めて私がこの会議に参加したときには、

「だから何?」

「で、どうするの?」

と参加者を質問攻めにしたのですが、結果として、盛り上がっていた会議が沈黙の会議になってしまいました笑

みんなが逃げてきた大きな壁については、私の部下の中からエース2名をアサインして、現在対応させています。

まあ、近いうちになんとかなるでしょう。

「意思決定」が目的の会議

定例ではなく、何か特別な目的のために臨時的に開催される会議もあります。

例えば、トラブルが発生したときの緊急対策会議ですね。

この会議では情報交換もしますが、とにかく即断即決することが求められます。

どんな会議よりも、司会者の手腕が問われます。

多くの参加者は、自分の意見を押し付けたい、責任逃れしたい、など様々な思惑を持って参加しているわけです。

意思決定をする会議なので、出席者もそれなりの役職者が出てきます。彼らの時給を考えれば、かなり高コストな会議です。

司会者は、その目的をしっかり理解し、議論を仕切らなければなりません。1秒足りとも無駄にはしたくないですね。

そして1回で終わらせること。

定例会議ではありませんから「次」はありません。あっちゃいけません。

参加者を選定するのも司会者の役割になります。その問題がどういうものなのか、どこの誰を呼べば十分な情報が集まり意思決定ができるのか、をしっかりと考えなければなりません。

目的や議論の内容も考えずに、とりあえず声かけてみよう、と集められたメンバーでは会議の目的を達成することはできないでしょう。

「みんな宿題を持ち帰って、もう一度集まりましょう!」となるのがオチです。

また「意思決定が目的の会議」の司会進行は、部下に任せるべきではありません。

仕切るには高度な技術と度量が求められますので、上司が部下にいいところを見せるチャンスでもあります。

「意思決定が目的の会議」が多い会社は危険

そもそも突発的に意思決定をしなければならない会議など、無いに越したことはありません。

仕事が常にうまく進み、定例会議だけで事足りるのが理想です。

もしあなたの会社や組織で「意思決定を目的とした会議」が多いのであれば、組織が機能不全になっている兆候です。

環境の変化に組織の体制や仕事のプロセスが追いついておらず、備えができていないということです。

あるいは上司が部下を信用できないから、何でも自分で判断しようとしているのかもしれません。

いずれにせよダメな組織です。

 

管理職であれば「意思決定が目的の会議」をどのようにうまく運営するかよりも、そもそもそのような会議を減らすことが本来の仕事です。

なんでもかんでも緊急会議で決めるのではなく、日頃から環境変化に備えておくべきです。

つまり「業務の日常化」です。

将来起こりそうな環境変化に柔軟に対応できるような仕事のやり方や業務プロセスを、日常から準備しておくこと。

部下が信用できないのであれば、信用できるように日常から鍛えておくこと。

それを平時から準備しておけば「ムダな会議」は必ず減ります。

そして浮いた時間やリソースは、新しい仕事やチャレンジに振り向けていけばよいのです。

 

「会議がムダ」なのではなく、「ムダな会議を生み出している管理職」が一番ムダなのです。

青葉

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青葉