「SDGsを語るんならガソリン自動車に乗るのを今すぐやめろ!」
SNSでSDGsに関する情報発信をしていたとき、こんなコメントをいただきました。
このコメントに賛同する方も多く、コメント欄が少々荒れました。
SDGsみたいなきれいごとを推すヤツはうさん臭い、みたいなコメントで溢れかえりました。
ここで「おいら電気自動車乗ってるよ!当たり前じゃん!」と言い返せればおもしろかったのですが笑、残念ながら私はガソリン車に乗ってます。
同じようなコメントは、昔ほかのSNSでも見たことがあります。
(なるほどなぁ・・・そう来るかぁ・・・)
このコメントをされた方は匿名だったので、どのような状況にある方なのかよくわからなかったのと、相手にするのがめんどくさかったので笑、とりあえずスルーしました。
病気で肺を患っている方なのかもしれませんし、安易に「叩かれたら叩き返す」みたいなことは絶対にすべきではありません。
(電気自動車も火力発電で作った電気で乗っていたらエコじゃないとか、生産過程でCO2を出しまくっているなんて話もありますが、それはさておき・・・)
たしかにSDGsの17目標は、どれも否定しようがない絶対的正義がズラズラと並べられていて、「きれいごと」がテンコ盛りですよね。
しかもキャッチーでカラフルなロゴ。
言葉では言い表せませんが、なんとなく拒絶してしまう感覚は理解できます。
スーツの胸元に堂々とあのバッジをつけているオッサンはなんかインチキ臭い笑
2年ほど前は、そもそもSDGsという言葉すら知らない人が多かったのですが、最近はニュースどころかバラエティ番組でも取り上げられるようになってきました。
当たり前で「きれいごと」であるSDGsに対し、
「何をいまさら・・・」
と、しらけた気持ちになる人もいるんだろうと思います。
SDGsをうさん臭いと感じる理由として「SDGsウォッシュ(SDGsをやってるフリ)」を心配される方もいます。
ブームのように盛り上げるだけで、本当に世界はよくなるのか?という懸念でしょうか。
たしかに、SDGsのバッジをつけて気持ちよくなってるだけじゃダメですよね。
SDGsブームに乗っかって宣伝やお金儲けをするのは、サステナブルなんでいいことだと思いますが、実際に社会や環境問題に貢献していなければ、完全にSDGsウォッシュです。
でもそこまで悪質な会社、私は見たことも聞いたこともないですが、どこかにいるんですかね?
大企業のSDGsウォッシュの事例なんかもネットでいくつか拝見したのですが、どれも「揚げ足取り」みたいな印象を受けました。
ビジネスの全体像や実態を把握せずに、できていない一部分だけを切り取って「SDGsウォッシュだ!」と言ってるだけのような・・・
その企業から直接話を聞いてみないことには、真実はわかりません。
私もビジネスマンなので、少々ひいき目に見ているのかもしれませんが、一部の学者さんやメディアの人が思うほど大企業は悪質ではないですよ。
個人では悪質なヤツもいますが笑、会社組織という個人の集合体になったときには、みんな「きれいごと」で動くんですから。
それができない会社は、ほっといてもちゃんと社会の制裁を受けるように世の中はできています。
SDGsウォッシュを懸念する人の中には、その辺をわかっている上で企業の取り組みを「叱咤激励」してくれている素晴らしい有識者もいますが、単に他人の意見を鵜呑みにして叩いている人もいるように感じます。
まあ悪質なSDGsウォッシュはレアなケースだと思うので、そういう会社もあるよね~、くらいで目くじら立てることも(揚げ足を取ってSDGsそのものを批判することも)ないと思います。
でも、大多数が「ややSDGsウォッシュ気味」みたいな感じではよろしくないでしょうね。
そこはやはり「ちゃんとした人」が叱咤激励すべきだと思います。
国連の陰謀だとか、先進国のエゴだとかいう意見もありますが、たとえそうでも、結果的に人類にとってよい方向に進むのであればいいんじゃないかな。
自分より大きな存在や強い存在が、自分より得をすることは不愉快かもしれませんが、そこを叩いても意味はないので。
考えても仕方ないことを考えるよりも、点けっぱなしにしてる廊下の電気を消すとか、今日のお風呂はシャワーだけにしようとか、少しでも何かやってる方が、未来を生きる子供たちのためにはいいのかなと思います。
考えることが仕事の学者さんや評論家と違って、ビジネスマンは汗をかいて結果を出してなんぼですから。
私は30年近く、社会や環境に対する世の中の動きや自社の対応を、ビジネスの現場から見てきました。
本やネットで他人から得た知識だけではなく、「空気」を肌身で感じ続けてきました。
世の中のすべてを語る知識までは持ち合わせていないので、感覚的にSDGsを受け止めています。
そんな私はSDGsに賛同しています。
「きれいごと」で「うさん臭い」SDGsですが、その方向性は正しいと信じています。
SDGsウォッシュや、ブームに便乗して儲けようとしている存在に、あまり目くじらを立てるつもりもありません。
SDGsみたいな「きれいごと」には、特に過渡期においては、うさん臭い存在は表裏一体でセットです。
これまで何度も見てきた光景です。
ですが、SDGsに賛同しているとはいえ、2030年の目標については「達成せねば!」といった強い思い入れは個人的にはありません。
この目標は正直しんどい。
17目標には168の詳細なターゲットもありますが、ほとんどはただのスローガンで、しかもかなり挑戦的(無謀?)なものです。
何をどうすれば目標に近づくのか、今目標に対してどのくらいまでいってるのかがわかりにくい。
私にはライフスタイルを大きく変えたり、高価な電気自動車を買ってまで、SDGs目標達成に貢献する気概はありません。
それを他人に強要するつもりもありません。
個人としては、できることを、気づいたときにやっていければいいかな、と考えています。
SDGsを知らない人には、まずは知ってもらいたいなと思いますが、そこから先どう動くかは人それぞれだと割り切っています。
ただし、これはあくまで個人としての考えであって、ビジネスとしては別の考えを持っています。
私が勤務している会社はSDGsへの取り組みを宣言していて、政府や環境団体の活動にも参加しています。
うちが公表しているサステナビリティレポートにも、SDGsに関連する取り組みが紹介されていて、実際私も仕事で関わっています。
にも関わらず、会社の中ではSDGsの話をする人間はほとんどいません。
これは、社員がSDGsをうさん臭いと考えている訳ではありません。
2年ほど前、うちの社員の多くはSDGsそのものを知らなかったので、私もあちこちで普及啓発していました。
当時、SDGsを紹介する記事も当サイトに掲載しました。
SDGsを知らない人があまりにも多かったからです。
でも、みんながSDGsを認知している今、私も会社でSDGsという言葉を口にすることはほとんどありません。
なぜか??
SDGsは目的ではなくて手段、ただのきっかけ
だと考えているからです。
SDGsは2015年から始まった2030年までの目標です。期間限定です。
でも私の会社は、もっとずっと昔から、社会や環境への対応を続けてきており、それは2030年以降も当たり前に続いていきます。
何十年も続いている企業はどこもそうだと思います。
SDGsがあろうがなかろうが、独自の厳しい目標を掲げて、これまでもこれからも社会や環境をよりよくするための活動を続けます。
そしてお客様に選んでいただける商品やサービスを提供することに全力をあげています。
SDGsの2030年目標達成のための商品やサービスという概念は、うちの会社にはありません。
これまでもこれからも続く企業活動の結果として、SDGsの目標達成に貢献している、ということを、社員は当たり前に理解しているからこそ、あえて社内で「SDGs」という言葉は出てこないのです。
だからと言って、SDGsを軽視している訳ではありません。
SDGsがこれだけ世界に拡散し盛り上がっている今、これまで地道に続けてきた企業活動にドライブをかけるきっかけとして活用しない手はありません。
これまで社会や環境のためにやりたくてもできなかったこと、ためらっていたことを一気に仕掛ける絶好のチャンスが訪れたのです。
例えば、冒頭にも出てきた電気自動車。
まだまだ値段が高くて、ちょっと手が出しにくいですよね。
でもSDGsブームによる環境意識の高まりによって、
「ちょっと高いけど買ってみるか」
というお客様が増えてくれば、販売台数も増えて、生産コストも安くなっていくでしょう。
そうなれば、電気自動車が安くなる、さらに買う人が増える、環境にもいい、会社も儲かる、という好循環が生まれます。
この好循環が、SDGsのS、サステナビリティ(持続可能性)の意味するところです。
うちの社内では、SDGsという言葉はあまり聞きませんが、サステナビリティという言葉はよく耳にします。
これは2030年のSDGs目標がどうとかじゃなくて、企業が社会に認められ、お客様に選ばれ、存続していくために極めて重要なことだからです。
これまで社会や環境に向き合う余裕が無く、このままでは存続が危ぶまれる中小零細企業も、このSDGsブーム?を、ビジネス構造変革のきっかけとして活用すれば、持続可能性が高まり、更に発展できるかもしれません。
SDGsに乗っかれば融資も受けやすくなってきていますので、思い切った投資も可能です。
むしろ乗っからないと、顧客から選ばれなくなるリスクもあります。
また、うちの会社なんかは、昔からいいことやってるのに、どうもそれを世間に伝える力が弱いところがあります。
自己満足で終わってしまい、あまり儲かってないというか・・・
「SDGsウォッシュ」と正反対の状況です笑
だからSDGsに乗っかって、うまく世間に伝えればいいのに、という「下心」もあります。
こういった「下心」も含めて、サステナビリティなんだろうと考えています。
当サイトでは個人のSDGs取り組みに関する情報も掲載しています。
SDGs、私にも何かできるのかな? 難しく考える必要はまったくありません。 勉強することもありません。 「私たちが普段からしていることが、すでにSDGsに貢献しているんだ」 ということを、まずは知ることから初めてみませんか?
この情報は、2019年8月に掲載して、定期的にアップデートをかけています。
「うさん臭い」と世間から見られることを覚悟の上で、こんな「きれいごと」情報を掲載しているのは、
からです。
チョコレートを買おうかなと思って商品棚を見たときに、そこには、紙包装のチョコとビニール包装のチョコが並んでいます。
そんなときに、
「紙包装の方がちょっと高いけど環境にはいいかな」
と思って、紙包装のチョコに手を伸ばしてもらいたいのです。
そんな小さなお客様の選択が積み重なることによって、企業の社会や環境への取り組みにドライブがかかり、持続可能な世界に近づいていく、と考えています。
ビジネスでは「市場の教育」という考え方があります。
どんなにいい商品やサービスでも、その価値をお客様に理解されなければ選んでもらえないので、お客様にしっかりと価値を「教育する」必要がある、ということです。
うちの会社もまわりの会社も、社会や環境のためになる商品やサービスを全力で投入しています。
世の中を変えていくための第一歩。人もお金もかかるその第一歩を企業はコミットしているのです。
第1回SDGsビジネス大賞で優秀賞を受賞した株式会社WCOの山中陽太代表も言ってました。
「最初の一歩がクッソ重たいんです」
「SDGsプラットフォーム第1回全国大会」SDGsビジネス大賞「優秀賞」受賞! | 株式会社WCO
まだ儲かるかどうかもわからない、お客様に選ばれるかどうかもわからない、そんな状況でも、SDGsや各国政府の環境規制、脱炭素目標に対応するために、先行投資をしています。
そんな企業の努力を活かし、よりよい社会と環境を実現するためには、お客様の「正しい選択」が必要になってきます。
企業が一番恐れているのは、SDGsの目標が達成できないことではなく、お客様に選ばれなくなることです。
サステナビリティを実現するためには、企業と個人がうまく噛み合う必要があると考えています。
じゃあ一体何が「正しい選択」なのか?
電気自動車ひとつ取っても、本当に環境に良い商品なのかは賛否両論です。噛み合っていません。
SDGsによって企業や個人は大きく揺さぶられ、時間をかけながら答えを見つけていくのでしょう。
大企業とはいえ一介のサラリーマンである私が、当サイトのような弱小サイトひとつ持ってるくらいで、世界を変えることなどできません。
それでも、何か自分にできることはないかと思って、「きれいごと」だと叩かれることも覚悟の上で、こうして手を動かしています。