あなたの職場にはいますか?
何度注意されてもミスを繰り返す人。
あなたが上司の立場であれば、大事な仕事の成果に影響する深刻な問題です。
あなたの同僚にそんな人がいたら・・・同僚が叱られる姿は見たくないですよね。
あなた自身がそうであった場合。
きっとつらく厳しい会社生活を送っていると思います。
「なぜ自分は言われたことができないんだ・・・わかっているはずなのに・・・」
部下の30代後半男性社員。
同期は管理職に昇進していますが、彼は昇進が少し遅れています。
その最大の理由が、仕事の納期が守れないということなのです。
以前より、彼が納期を守れない、というのは社内で有名な話でした。
私は今月から新しい職場に異動したのですが、そこで初めて彼と一緒に仕事をすることになりました。
人事異動。 企業に勤めるビジネスパーソンには避けては通れない話ですね。 そして、学生時代のクラス替えみたいなドキドキ感があります。 大人になっても、そんなことでドキドキするものです。 今日の記事は、長い間異動がなく、塩漬けになっていた私のお話です。 長い間同じ職場で塩漬けになっている方、モチベーション下がってませんか? そんな方にこの記事を読んでもらって、少し元気になってもらえればいいなと思います。
私が異動した当日、さっそく彼はやらかしたのです・・・
すみません、出張費用の精算について承認をお願いします
私「はいはい・・・ん??おい、これいつのだ??」
2月に出張に行ったときの精算を忘れてました
精算期限は先週までだったろ!
大丈夫です!人事に確認したら、期限過ぎても精算処理はできるそうです
いやいや、そういうことじゃなくて・・・
何も悪びれる様子はありません。
期末の出張精算については、精算遅れがないようにメールでのフォローが何度も入りますし、庶務の女性や当時の上司も督促していたはずです。
にもかかわらずです。
(ああ、なるほど、こういうことか・・・)
かなりの重症のようです。
彼は何を聞いても答えられるほどに業務知識は豊富です。
考え方もしっかりしていて穏やかな性格で、同僚からの人望もあります。
ただ・・・仕事の納期というものにあまりにも無頓着なのです。
それだけの理由で社内での評判を著しく落とし、昇進も止まっているのです。
「もったいない・・・」
私はそう感じました。
「納期」 と言えば、お客様に商品を届ける期限、というイメージがあると思います。
会社の中での ”納期” も同じ意味を持ちます。
組織の中で仕事をするのは、リレーのようなものです。
自分の仕事には「前工程と後工程」というものがあります。前工程からバトンを受け取ったら、そこで付加価値をつけて、後工程にバトンを渡すのです。
最後には、製品やサービスという価値になって、お客様に届けられます。
ただ、会社の中のリレーは競争ではありません。
遅いのはもちろんダメ。でも早ければよいというものでもないのです。
重要なのは、
ということなのです。
会社の中では、多くの組織や社員が、ひとつの目的のためにリレーをしています。
その目的とは、
お客様にタイムリーに製品やサービスを届けること
であり、そこから逆算して仕事の計画は立てられます。
それが「仕事の納期」なのです。
会社では、多くの組織や社員がリレーに参加しているので、どこかが遅れてもどこかがカバーして、最後はなんとかなるものです。
「自分のこの作業が1日くらい遅れたって、大きな影響はないだろ」と考えがちです。
とはいえ、多くの社員がそんな甘えを持っていては、お客様への納期を守ることなどできません。
小さな甘えの積み重ねが、会社そのものを傾けてしまうこともあるのです。
だから上司は厳しく部下を管理するのです。
まだ納期まで余裕があるはずなのに、
「あの件、どうなった?」
「いつになったらできるんだ?」
なんて上はガミガミ言いますよね。ウザいなって感じることもあると思います。
でもそれは、上司が全体の仕事の流れを考えて、自分の職場の納期管理をしっかりとしている証拠でもあります。
上司は部下よりも高いく広い視点で仕事を見ています。
部下は自分の仕事の納期だけを気にするもんです。
でも上司は、次の職場にバトンを渡すタイミング、さらには、次の職場がさらにまた次の職場にバトンを渡すタイミングまで見極めて、部下の仕事を管理しているのです。
私に言わせると、どんなに素晴らしいアウトプットでも、
納期を過ぎたらただのゴミ
です。
この納期が守れない部下。
社内では「発達障害ではないか?」という噂もあります。
発達障害は先天的な脳の機能障害です。いろいろな症状がありますが、彼の場合は
ADHD(注意欠如多動性障害)
を疑われています。
ADHDにはこんな特徴があるようです。
たしかに彼は、納期が守れないだけではなく、
デスクにはいつも書類が山積み
人の話を聞かずに勝手に会話を進める
いきなり関係ない話をしだす
といったADHDの顕著な特徴も見受けられます。
たしかに欠点だけあげつらえば、発達障害が疑われます。
でも長所もたくさんあります。
ここ一番での集中力がすごい
業務知識が豊富でなんでも知っている
どんな依頼でもすぐに引き受けてくれる
これは「多動力」と呼ばれ、ひとつの能力であるとも言われています。ホリエモンのベストセラーで有名になった言葉です。
人には誰しも長所と短所があります。
そこを上手に活用して、人を育て、組織を運営していくのが、管理職の腕のみせどころです。
実際に彼が発達障害なのかは私には判断できません。本人が発達障害を自覚しているのかどうかもわかりません。
でも、たくさん失敗して、いろんな人に説教されて、悩んでいるはず。
彼が発達障害であってもなくても、目の前の部下が悩んでいるのであれば、私はいつもどおりに指導をしていきます。
私は医者ではなくビジネスマンです。
人を使って成果を出すということに関してはプロである必要があります。
納期が守れないことに関しては、私は彼に3つのお願いをしました。
これから彼がどう変わっていくか。
上司としてしっかりと見守っていきたいです。
同じ職場で働く仲間たちには、幸せな会社人生を歩んでもらいたいと願っています。
それから10か月後・・・
3つのお願いについては、すぐに守れたわけではありませんでしたが、私が根気よく指導(説教)することによって、今では普通にできるようになりました。
これまでは、納期に追われる日々、そして納期に遅れて叱られる日々でした。
今では、納期を見すえて効率的に計画的に仕事を進めていくこと、そうすることによって、より多くの仕事で成果を出せること、褒めてもらえること、を体で覚え始めました。
昇進が遅れていた彼ですが、先月受けた昇格試験に見事合格しました!
これまで受験する機会すら与えられなかった彼ですが、私が上層部に働きかけ受験するチャンスを得ることができたのです。
そして見事に彼の「多動力」が評価されたのです。
納期遅れは・・・たまにやらかしますが笑、それ以上に、「多動力」を活かして、人の何倍もの成果をあげています。
「ちょっとこれすぐやってほしいんだけど・・・」
彼はそんな仕事を嫌な顔ひとつせずに引き受けて、すぐに結果を持ってくるのです。
部下のパフォーマンスを測るのに、完璧な「モノサシ」はありません。
上司はそれを肝に銘じなければなりません。
今では、彼は私の片腕として大活躍しています。
彼無しでは、私の仕事はまわらないほどに、です。