令和元年10月22日、即位礼正殿の儀に参列された安倍総理大臣の寿詩(よごと)を全文を紹介します。
寿詩(よごと)とは、天皇陛下の治世が久しく繁栄するように祝う言葉です。
私は思想家ではありませんが、元号が変わるという国家の大きな節目において、あらためて日本の素晴らしい伝統や美しい言葉に感動しています。
安倍総理寿詩(よごと)全文
謹んで申し上げます。
天皇陛下におかれましては、本日ここにめでたく即位礼正殿の儀を挙行され、即位を内外に宣明されました。一同こぞって心からお慶(よろこ)び申し上げます。
ただいま、天皇陛下から、上皇陛下の歩みに深く思いを致され、国民の幸せと世界の平和を常に願い、国民に寄り添いながら、日本国憲法にのっとり、象徴としての責務を果たされるとのお考えと、我が国が一層発展し、国際社会の友好と平和、人類の福祉と繁栄に寄与することを願われるお気持ちを伺い、深く感銘を受けるとともに、敬愛の念を今一度新たにいたしました。
私たち国民一同は、天皇陛下を日本国及び日本国民統合の象徴と仰ぎ、心を新たに、平和で、希望に満ちあふれ、誇りある日本の輝かしい未来、人々が美しく心を寄せ合う中で、文化が生まれ育つ時代を創り上げていくため、最善の努力を尽くしてまいります。
ここに、令和の代(よ)の平安と天皇陛下の弥栄(いやさか)をお祈り申し上げ、お祝いの言葉といたします。
美しく心を寄せ合う
安倍総理の寿詩(よごと)には、日本の政府、国民の代表として、令和の時代に向けた強いメッセージが含まれていると感じました。
みなさんご存知のように、「令和」という元号は万葉集の言葉から生まれています。
初春の令月にして 気淑く風和らぎ
梅は鏡前の粉を披き 蘭は珮後の香を薫らす
【2019年4月1日 安倍総理会見より】
厳しい寒さの後に春の訪れを告げ、見事に咲き誇る梅の花のように、一人一人の日本人が明日への希望と共に、それぞれの花を大きく咲かせることができる、そうした日本でありたいとの願いを込め、『令和』に決定いたしました。
そして、この「令和」という言葉には、人々が美しく心を寄せ合う中で、文化が生まれ育つという意味が込められています。
令和天皇の即位、そして新しい時代に向けて、この令和に込められた意味をあらためて天皇陛下に誓ったのです。