今回のお話は、席替えによって職場環境を改善した私の体験談です。

別の記事でもお話しましたが、8年ぶりに異動しました。

異動と言っても転勤とかじゃなくて、となりの職場に変わっただけ。

上司は変わりませんが、部下がごっそり変わりました。

ただ、新しい職場の人たち。

前から思っていたのですが、いつも雰囲気が暗いんですよね。一日中シーンとしてて、黙々と仕事をしてる感じ。

うつ病になった人がいたり、退職者がたくさん出たりして、職場がガタガタになってることは知ってます。上層部の評判もよくない職場です。

異動が発表された後も、私に話しかけてくる人はひとりもいません。

隣の職場から新しい上司が来るんだから、一言くらい挨拶してくれてもいいと思うのですが・・・

こっちから話しかけても、どうもよそよそしいんですよ。

隣の職場とはいえ、やってる仕事が全然違うので、私とはあまり話したことがない人たちです。

にしても、新しい職場の仲間にここまで冷ややかな対応をするものでしょうか。

これっていったいどういうこと??

人間関係が壊れた職場

前任の部門長と簡単な引継ぎの話をしました。

そこで私は、新しい職場の根深い問題を理解することできました。

この職場には、悩ましい問題がたくさんあったのです。

うつ病に苦しむ人たち

メンバーの3分の1が、うつ病で今も通院、投薬治療中でした。

過去うつ病で、何名かが一時休職していたのは知っていました。でも最近のことではなく、何年も前のことです。

未だにこんなに大勢のメンバーが治療中だったとは、私も知りませんでした。

同じ職場でここまで多くのメンバーがうつ病というのは、さすがに聞いたことがありません。

職場内でのいたずら

ある女性社員に対するいたずらが頻繁に発生していることを聞かされました。

机の上や引き出しの中が散らかされていたり、パソコンの電源コードが抜かれていたり、という幼稚ないたずらですが、過去数年間、月に2回くらいのペースで続いているそうです。

こんな子供のようないたずらをする人間が私の会社にいるなんて、あきれるのはもちろんですが、とても悲しく残念に感じました。

その女性社員からも直接いろいろ聞いたのですが、幸い彼女はそこまで気に病んでいる様子ではありませんでした。

同じ職場の他の女性社員が犯人だと思っているらしく、むしろそう考えることで不安が和らいている様子でした。

困り顔(女子)

絶対○○さんの仕業に違いないから!ほんとバカみたいだよね!笑

本人があまり気にしてないのはよいことですが、実際犯人が誰かなのかは私にはわかりません。

犬猿の仲の人たち

「あの人だけは絶対無理!」

人は誰しもそういう相手が存在するかもしれません。

この職場では、犬猿の仲の組み合わせが複数存在していました。

この手の問題は、管理職がある程度は配慮して、組織編制や異動を考えたりするものですが、この職場はずっと放置していたようです。

上司が気づいたときには、あちこちでそんな組み合わせが発生していて、どうしようもなかったとのことでした。

さて何から始めるか!?

企業

なんとかしてこの職場を立て直してくれないか?

上司からそう頼まれて異動してきました。

私は数日、この職場を眺めて、何から手をつけていこうかと悩んでいました。

そして決めました。

青葉

よし!席替えだ!それだけじゃなく、職場の大移動だ!

席替えするだけではなく、職場の場所を丸ごと移動させることにしました。

私の前職場と新しい職場の島を入れ替える。つまり、私は同じ場所にとどまり、部下だけが全員ごっそり移動するという訳です。

こんなイメージです。

ひとつの職場が約20名なので、同時に40名の人間が机を移動するという、私の部門では前代未聞の大引越しです。配線の工事など、余計なお金もかかる話です。

役員に事情を説明し、なんとか承認も得ることができました。

困惑してましたが、私に無理を押し付けた立場上、NOとは言えません。

そして、今の職場と新しい職場それぞれのメンバーに職場移動について伝えました。

驚き顔

え?冗談ですよね!?

職場はザワつきました。

まあ当然の反応だろうと思います。

コストもかかるし、引っ越し作業中は仕事になりません。もちろん、自分たちで移動や掃除をするので、めんどくさいことです。

でも職場のみんなにすべての事情を話すわけにはいきません。

青葉

もう何十年も場所が変わってないし、平成も終わるしさ、気分転換にやってみようよ!

軽いノリを演出して無理やり納得させました。

私の元職場メンバーも席替えしなければならないのですが、私の性格もよく知っているので、苦笑しながらも受け入れた様子。

ところが異動先の職場メンバーの多くは、あからさまに顔をゆがめていました。

廊下で、そのメンバーのひとりが私に話しかけてきました。私よりずっと年上の先輩社員です。

会社員

みんな言いづらいと思うので、私が代表して言いますが、席替えは反対です

みんなが内心反対していることはわかっていました。

それより、こうして私に対して意見してくれる人がいるのは、ちょっとうれしい。

青葉

(まだこの職場は死んでない)

本当に終わっている職場だと、上司に誰も何も言わなくなりますからね。

青葉

みなさんの気持ちはわかりますが、とりあえずやらせてください!

意見してくれたのはうれしかったのですが、突っぱねました。

私が席替えを決断した理由

私の職場があるフロアはわりと大きくて、100名以上の社員が働いています。

私の新しい職場は、その大きなフロアの端っこ、壁際に位置していました。何十年も場所は変わってないそうです。

壁際ってなんか居心地いいですよね。背後に誰もいない安心感でしょうか。

そして壁際にはその職場が保有するキャビネット(戸棚)がたくさん並んでいます。

他の部門の何倍もの数のキャビネットを使っています。

なんでこんなにキャビネットが必要なのか?

以前から私は不審に感じてはいたのですが、職場が違うので口出しはしませんでした。

そのキャビネット、ドキドキしながら開けてみました。

青葉

なんじゃこりゃ・・・

私物のカバン、靴、雑誌、10年以上前の不要書類、サンプル商品などなど・・・

あまりの光景に腰が抜けました。

ちなみに私物については、ちゃんと更衣室にロッカーがあるのでそこに保管するのが各職場のルールです。

職場内のキャビネットに置くのはあきらかなルール違反。

これも席替えに反対する理由だったようです。

 

彼らが席替え(職場移動)を拒絶する理由は2つ。

➊ 人目につきにくい壁際に陣取ることの安心感
➋ 手の届く場所に私物保管することの便利さ

まあ気持ちはわかります。

 

そして、その職場のメンバーの机の上。

書類や私物が山積みになっている人多数。もうグチャグチャ。

 

私は

仕事ができる人 = デスクがスッキリ

と確信しているので、この状態は見逃せません。

この職場でまずやるべきことは、

整理整とん

だと確信しました。

整理整とんを実行するために、一度職場を物理的にひっくり返そうと考えました。

職場の大移動によって、大きく揺すぶってみます。

 

職場の雰囲気や、メンバーの気持ちを変えていくのは時間をかけなければなりません。

だからこそ、物理的にすぐできることは断行すべき。

やるとなったら、みんなが泣こうがわめこうがやってしまうのです。

席替えの実行~その2か月後

職場移動と席替えを断行して2か月が経過しました。

私が以前にいた職場のように、にぎやかな雰囲気になってきたと感じています。

 

まずキャビネット。

部下の女性ひとりを、職場の整理整とん担当に任命し、彼女をリーダーにして徹底的に整理整とんしました。

みんなにブーブー文句言われましたが、私物は完全撤去。ルール通り、更衣室のロッカーに移動させました。

不要なサンプル商品はゴミ捨て場行き。あるいは入手元の部門に返却しました。(こっちもブーブー文句言われました)

書類については、ざっと目を通して、保管期限を過ぎているものは廃却。保管期限内の書類だけ残しました。

結果として、4つあったキャビネットのうち、3つがガラ空きとなりました

とりあえず今は職場に置いてますが、いずれキャビネットそのものをどこか必要な部門に移送する予定です。

 

次に席替え。

いたずらを受けている女性は私の隣に座らせました。

彼女はベテラン社員で、とても頼りになる存在です。私の秘書的な仕事もやってもらおうと考えています。

そして、私の机の引き出しの一部を、彼女にも使ってもらうことにしました。

私は管理職なので、他の社員よりも大きくて引き出しもたくさんある机を使っているのですが、元々持ち物が少ない私は、まったく使ってない引き出しがあります。

それを彼女に提供しました。

これで少しはいたずらがやりにくくなるかな、と期待してのことです。

実際、席替えをしてからはいたずらは止まっています。予断は許しませんが・・・

他のメンバーの座席配置は、各自で決めてもらいました。

私は一切口出しせずに、みんなが喧々諤々と座る場所を相談している姿をじっくりと眺めていました。

普段はあまりしゃべらない人も、こういうときは積極的に発言しています

メンバーのキャラがだんだん見えてきます。

この「座席配置を部下に自由に決めさせる」のは、昔から私がやってきたやり方です。

ただし、私の両隣だけはいつも私が指示します。

管理職の隣には、誰も座りたがらないからです笑

管理職によっては、「部下の座席配置は自分の知恵の出しどころ!」と一生懸命自分で考える人もいますが、私はあまり気にしません。

そもそも何を根拠に、上司が部下の座席を決めるんでしょうか?

この二人は同じ仕事をしてるから隣同士に・・・
仲が悪いから席を離して・・・
指導力を学ばせるために、こいつの隣には新人を・・・

そんな感じですか?

子供じゃないんだから、そんなもん各自に任せておけば、勝手にいいところにおさまるんじゃないかと思うのですが。

そんなことより上司にとって大切なのは、

上司である自分がどこに座るか

だと思います。

私の座席は、島のど真ん中あたりにしました。椅子をクルっと回転させれば職場を見渡せますし、20名の部下にいつでも話しかけられる距離です。

壁際に陣取る管理職もいますが、私は島の中に座るのが好みです。

部下には迷惑かもしれませんが、上司に話しかけやすいというメリットをみんなに感じてもらうように振る舞えばよいと思ってます。

また、管理職は人事評価などの部下に見られたくない資料をパソコンで見るケースもありますが、うちはノートPCを全員与えられてますので、そういうときはノートPC持って会議室で仕事します。

 

うつ病に苦しんでいる部下に対しては、現時点何もしてあげられていませんが、まずはちゃんと日々の様子を見てあげるしかないかな、と考えています。

雑談のススメ

職場移動と席替えによって、シーンと静まり返っていた職場は常にザワザワ、みんながおしゃべりするようになりました。

もちろん仕事の話だけではなく、何気ない雑談も多くなりました。

ほとんどの会話は、島の真ん中に座っている私の耳に自然と入ってきます。

おもしろい話が始まると、私はクルっと椅子を回転させて、会話に入っていきます。単に私が雑談が好きだからです。

職場でおしゃべりするのはあまり良いことではないかもしれませんが、私は雑談ばかりしているにぎやかな職場が大好きです。

雑談といっても、朝から晩まで雑談する人なんていません。

雑談するときは思いっきり楽しんで、そして仕事には集中して取り組む。

そんなサイクルの方が業務効率は上がるんじゃないかと思います。

もうひとつ雑談のよいとこがあります。

普段、雑談ばかりしている私が、たまにまじめな仕事の話をすると、みんな何事かと真剣に聞くようになるのです。

仕事をしていたら、たまに正念場がやってきます。

みんなで力を合わせて、英知を結集して、短納期でやってしまわなければならない局面もあります。

そんなときは、私も真剣にみんなに話をして、協力を要請します。

1日の仕事の中にも、オーケストラの指揮をするように、リズムとテンポを生み出すのです。

朝から晩までメトロノームを刻むような職場では、眠くなってしまいますね。

 

異動してまだ2か月ですが、すでに私の職場は、役員からお褒めの言葉をいただけるほどの成果を出しました。

企業

君たちが先陣切ってこの問題を解決してくれた!ありがとう!
このやり方を他の職場にも水平展開させてくれ!

私の部下は、これまで見たこともないような笑顔を見せてくれました。

もちろん、席替えだけの効果ではありませんが、席替えによって職場の雰囲気が変わったことは紛れもない事実です。

青葉

たかが席替え、されど席替えなんです

この記事の前日談はこちらです↓