
”手戻り”という言葉、聞いたことがありますか?
一言で言えば、やり直し、という意味です。
ビジネスの現場でもよくあることです。
上司に資料の作り直しを命じられた
会議で否決された上に宿題が出た
作ったプログラムにエラーが見つかってやり直し
いずれもあってはならないこと、避けるべきことなんですが、残念ながらよくあることでもありますね。
うちの会社でもこの手戻りが頻発してるのですが、今回の記事では、身内の恥をさらします笑

半分グチみたいな話だけど、読んで損はしないように書きます笑
経営会議の準備
会社には、経営会議という重要な会議があります。
うちの会社には本部という組織が20くらいあります。それぞれの本部には担当役員がいて、経営会議ではこの20人に加えて、社長や副社長といった取締役クラスが主なメンバーとなり、全社的な重要事項の意思決定を行います。
もちろん私は経営会議には出席しませんが、部門を代表して経営会議に出席する担当役員のために、資料や情報をちゃんと整理して準備するのが仕事です。
これがなかなかタフな仕事なんです。

担当役員が会議で他部門と戦うための武器を用意する仕事、とも言えるかな
経営会議本番までの道のりは遠いです。
なるべくシンプルに流れを説明します。
経営会議での議題決定
各本部への議題展開
各部門への議題展開(← )
各部門で情報収集と資料作成(← )
各部門の部門長による資料確認(← )
各本部の担当役員による資料確認(← )
担当役員による経営会議メンバーへの事前説明
経営会議本番

大企業って大変でしょ笑 社畜って言わないでね!
こんな遠き道のりなので、経営会議の議題が決定してから本番まで、少なくとも2ヶ月は欲しいところです。
ただし、すべての道のりで ”手戻り” が無い、という前提においてです。
この ”手戻り” が、うちの会社では最近特に顕著になってきて、役員から現場まで疲れ果てています。
なぜ ”手戻り” が発生するのか?(わが社の場合)
私が考える最大の理由。
それは、経営者と現場の意識がつながっていない、ということです。
いわゆる大企業病ってやつです。
経営者は高い目標を掲げて仕事をしています。その高い目標に対して、現場の目標が低い、あるいは目標そのものが無い。
だから ”手戻り” が多発するのです。
大企業病の理由は会社によって様々だと思いますが、うちについてはそんな理由であると私は感じています。
スタッフ部門が弱い
スタッフ部門は、管理部門とも呼ばれており、経営企画部などを指します。会社組織においては、頭脳であり、血管や神経でもある部門です。
つまり、経営者の考え方や会社の施策を、正しく迅速に現場(ライン部門)に伝達するのが、スタッフ部門の重要な使命です。
わが社のスタッフ部門とライン部門の対立については、記事にしたこともあります。
「また経営企画部が無茶言ってきやがった・・・」 「営業の連中は何考えてんだ!?」 会社の中ではよく聞こえてくる言葉ですね。 あなたの会社では、対立する組織ってありませんか? 人間関係は良好でも、仕事となると組織間で対立するようなケースって、どこの会社でも見られる光景です。 組織が大きければ大きいほど、そういった対立構造ってあるのではないでしょうか? 今日は、 犬猿の仲の部門が仲良く仕事するにはどうすればよいか? 私の実体験をお話します。
ところが、このスタッフ部門の伝達する力が弱い。
先日、私とスタッフの間でこんな会話がありました。(実際の会話内容はもっとややこしいものですが)

アメリカから輸入する予定の生産設備ですが、予算に対していくらで買えそうですか?3日後に役員に報告しますので、このフォーマットを使って報告資料まとめてください。

3日後!?なんでそんなに急なの?まだ見積もり取ったばかりだけど・・・

来週の経営会議で議題になるそうです。事前に担当役員が見たいと言ってます。

えらい急な話だね・・・まあ仕方ない。頑張ってみます。にしても予算が厳しいな・・・これどうやって算出されたの?

ええと・・・ちょっと確認してみます

報告するのは金額だけでいいの?この設備はこんな予算じゃ買えないよ。その理由もちゃんと説明しないとダメなんじゃない?

それも役員に確認してみます。

予算未達の理由も必要なら、3日後の報告なんて無理だよ。価格交渉はこれからアメリカの取引先とするんだから。時差もあるし。

ですよね・・・

報告値は、ドルで報告するの?円で報告するの?為替レートはいくらを使えばいいの?
それも合わせて確認します・・・

ちょっと待って。このフォーマット、大事なポイントが抜けてるし、これじゃダメでしょ?

すぐ持ち帰って修正します。

いつまでに?
明日中には・・・

もういいよ・・・俺が直接役員と話するよ・・・
ちなみにこのスタッフ、担当者じゃなくて、私と同格の管理職なんですよ。
上からの指示を右から左に丸投げしているだけ。
でもこんな人が多いのがうちのスタッフ部門なんです。
なぜうちのスタッフ部門は弱いのか?
これは人材育成にも絡んでくる話なのですが、うちはメーカーなので、仕事を覚えるためにはまずは現場を知らなければなりません。現場というのは、製品開発部門や営業部門など、いわゆるライン部門です。
よって新入社員はまずライン部門に投入され、何年もかけて大切に育てられます。
優秀な社員はライン部門でどんどん出世していきます。ライン部門は、そんな優秀な人間は簡単には手放しません。
結局、スタッフ部門には、ライン部門で頭角を現すことができなかった人が集まるようになってしまったのです。
ごく稀にスタッフ部門に異動して才能が開花する人もいますが、多くのスタッフはモチベーションが低く、仕事を右から左に流す傾向が強いのです。

あくまでうちの会社の話ですよ!会社によってはスタッフが強いところもあります。強すぎるのも問題ですが!
何も考えず上の言いなりに動く現場
さきほどの会話は、ライン部門の気難しい管理職である私相手にスタッフが玉砕した事例ですが、ライン部門においても、スタッフに言うべきことを言わずに、ただ黙って仕事を受ける管理職や担当者がたくさんいます。
ただ仕事を右から左に流すだけのロボット化してしまった人たちです。
右から左に仕事を流していれば一見楽なように見えますが、実際は手戻りだらけとなり、結局は余計な仕事が増えるのです。ますますストレスが高まり、モチベーションも下がっていくという悪循環に陥るのです。
担当者レベルならともかく、管理職はこんな状況を見過ごしてはいけません。職務怠慢です。
他部門やスタッフ部門から仕事を引き受けるときは、まずは自分自身が納得してから部下に展開することが必須です。適当に仕事を引き受けて、部下に手戻りをさせてはならないのです。

だから俺はスタッフからは毛嫌いされてるよ!本望だけどね笑
手戻りを無くすために
さきほどの会話の件ですが、結局手戻りになりました笑
何しろ時間が少なすぎて、情報収集と整理が不十分な状態で役員に報告。当然ながらやり直しを命じられ、宿題もたくさんもらいました。

手持ちの情報でいいからとりあえず報告してくれ、って言ったのあんたでしょ!笑
とはいえ、叱られたわけではありません。
むしろ、スタッフにちゃんと丁寧に仕事の指示をしてなかったことを反省している様子でした。
私に言わせれば、そんな一から十まで役員がスタッフに説明する必要はなく、下の者が意図を汲んで(忖度して)仕事を進めるべきだと思いますが。
結局、手戻りを無くそうと思えば、自分の目の前の仕事だけ見ていたらダメなんです。
”後工程はお客様” という言葉があります。自分の仕事を引き渡す次の工程(部門や人)のために、自分の仕事をきっちりやりましょうね、という意味です。
でも手戻りを防止するためにはそれだけでは不十分であり、”前工程もお客様” という意識が必要だということですね。
もうひとつ大切なことがあります。
自分に甘い目標を与えてはいけません。
自分の目標が後工程の目標より低い場合に手戻りは発生するのです。

このくらいやっときゃいいか
この甘い考え、甘い目標が手戻りを発生させるのです。後工程の期待を越えるアウトプットを日ごろから心がける必要があるのです。
前工程からの指示も、後工程へのアウトプットも、ただ流すだけではなく、自分の手元でより大きなアウトプットにする心構えをもって仕事をしてください。

わが社の手戻りはまだまだ無くなりそうにはないよ・・・