「あなたのキャリアを活かした仕事に興味ありませんか?」

みたいな怪しげな電話がかかってくることがあります。

ヘッドハンターからの電話です。

私の場合は、その多くがシンガポールや中国、韓国といった海外からの連絡で、いきなり英語かたどたどしい日本語で転職の話を持ちかけてきます。

そもそも私は積極的に転職を考えていませんので、転職サイトの類には一切登録していません。

おそらく従業員名簿か何かを不正に入手したのでしょう。

そんな電話には「まったく興味ありません」と即お断りしています。

たとえ相手が日本人でも断ります。

 

でも一度だけ、ヘッドハンターに実際に会ってみたことがあります。

そのときの話を少しさせていただこうと思います。

ヘッドハンターとの出会い

ある日、職場に中高年と思われる男性から電話がかかってきました。

「お忙しいところすみません、□□(会社名)の△△と申します」

会社名からヘッドハンターだとピンと来たので、すぐに電話を切ろうとしました。

「○○さんから青葉さんのことを聞いてお電話させてもらっています」

その一言で私の手は止まりました。

この○○さんというのは、私の元上司で数年前に別の大企業に転職した人です。

(ああ、なるほど・・・そういうルートか・・・)

怪しげな業者ではなさそうです。

元上司の名前が出てきたので、私もすぐに電話を切ることもできなかったのですが、転職をするつもりはないことだけお伝えして電話を切りました。

 

それから数週間ほど経ったころ、また電話がかかってきました。

「御社の近くに行く用事があるので軽くお茶でもしませんか?」

転職には興味ありませんが、ヘッドハンターという人にはちょっと興味があったので、会ってみることにしました。

ヘッドハンターってどんな人?

私がお会いしたヘッドハンターは気さくな年配のおじさんでした。

元々は超有名な大企業の役員をされていたのですが、退職後に独立して個人のヘッドハント会社を立ち上げたそうです。

もう10年以上前になりますが、業界で話題になった出来事(事件?)があったんですよね。

その出来事の渦中にいたのがこの方で、当時は新聞や週刊誌にも名前が出ていました。

責任を取って・・・ということではないのですが、それがきっかけで退職されたそうです。

 

業界にかなりの人脈があり、人脈自慢の私とは共通の知人が大勢いました。

「ええ!あの人が転職して社長になったのも裏で世話してたんですか!?」

みたいな感じで話は盛り上がりました。

もちろん私が転職するつもりがないことはわかった上で、業界の情報収集目的でコンタクトしてきたわけです。

業界の大先輩である方の裏話が聞けるのはとても楽しい時間でした。

お礼も兼ねて、お茶代は私が払わせていただきました。

人脈を駆使するヘッドハンター

ヘッドハンターにも、見ず知らずの人にいきなりコンタクトする人もいれば、彼のように人脈を駆使してヘッドハントしてくる人もいます。

私の元上司から「おもしろいヤツがいる」と話を聞いて、会ってみたい、と思い私にコンタクトしてきたとのことでした。

大企業の役員までしていた方なので、お金には不自由しておらず、半分道楽でヘッドハンターをやっているようです。

私に会いに来たものほんとに暇つぶしみたいな感じで、純粋にお互い会話を楽しむだけでした。

雑談をしながら私を値踏みして、彼の「人材リスト」に登録するかどうか考えているんじゃないかと。

こんな感じで仕事していたら、たまに大物が釣れたりするんでしょうね。

 

どこかで入手した名簿を頼りにコンタクトしてくるヘッドハント会社は、担当者が「仕事」として右から左に紹介しているだけで、そんなマニュアルで勉強した会話など、ベテランビジネスマンである私にはバレバレです。

彼のように何十年もかけて築き上げてきたキャリアと人脈を使って、個人でヘッドハントするタイプであれば、こちらも安心して色々とお話できます。

私よりも年上で社会人経験が長いということも安心感があります。

クライアント企業との信頼関係で仕事をしているしっかりした人なので、転職という人生の一大決心をサポートしてもらうならこんな人がいいですよね。

このタイプのヘッドハンターであれば、たとえ転職を考えていなくても、会うだけ会ってみる価値はあると思います。

ヘッドハンターという人を知人に持っておけば、いざというときに頼りになるかも?

 

今では、忘れた頃にご機嫌伺いの連絡が来るという関係ですが、コロナが落ち着いたらまたお茶でもしてみたいな、と思っています。