「出世したいですか?」と聞かれたら、あなたはどう答えますか?

その答えは、大きく3パターンあると思います。

 ① 出世したい
 ② 出世したくない
 ③ 出世そのものに興味ない、わからない

私は③に近いです。

「出世に興味がないわけではないけど、考えても仕方ない」

というのが本音です。

 

20代30代だと「したくない、興味ない」と答える方が半分くらいいるそうですね。特に30代になると出世したくない人が増えてくるそうです。

40代なら管理職になるかならないかくらいの一番元気なときですね。家族を持っている人も多く、家や車のローン、子供の教育費などの負担が多くなってくる頃でしょうか。

「そりゃできるもんならしたいですよ、収入増えるし」って感じの人が多いのかな?

では50代の方はどうでしょうか?

「出世したいですか?したくないですか?」

アラフィフ平社員の出世意欲

50代って、平社員から社長まで幅広いポジションに散らばってますよね。

幸い私はこれまで順調に出世街道を歩いてきて、40代で上級管理職になりました。

出世のスピードは部門によって違いますが、うちの部門では最速ペースです。

でも平社員や係長クラスで止まっている同期はたくさんいます。

あいつらに「出世したいか?」と聞いても答えはわかってます。

絶対に「No」ですね。

平社員や係長クラスとはいっても、年功序列の大企業なので収入はけっこうあるんですよ。

そりゃ、管理職の方が基本給は高いですが、残業もつかないし、会社の収益が悪化するとすぐに減給です。

時給換算すると、そこまで管理職が優遇されているわけではないことを、あいつらはよくわかってます。

しかも、早くから会社人生に見切りをつけて趣味に没頭していたので、遊びが上手。ゴルフも上手。

年下の部下に対しても、長年の経験から、適当に相手をする技術と精神を身に付けてます。

年下の部下に仕えるのって、若い人なんかは屈辱的な状況をイメージするかもしれません。

でもね、私も一時期経験あるのですが、これ意外と気にならなかったですね。

むしろ、こっちが年上なんで上司に強く出れるし、この若者を助けてあげないと、という親心も芽生えて、むしろ仕事はやりやすかったですね。

上司が自分より先輩の場合は、もう一切口答えもできず平服しないといけないので、私はそっちの方がしんどいです笑

まあ、職場内の人間関係とかキャラにもよるのでしょう。

とにかく、生活するには十分な給料をもらっていて、プライベートも充実している同期のあいつらが、今さら「出世したい」なんていう訳がありません。

ピーターの法則

一方、私の10年先輩で役員にまで出世した人。昔から出世欲が強く、優秀で仕事もバリバリでした。土日も仕事ばっかりしてました。

でも・・・仕事には詳しいですが、脳の機能をすべて仕事に振っていたのか、仕事以外の話は全くダメでした。世間のことを何も知らない。

飲み会でも仕事の話しかしないから、みんなからウザがられてましたね。

役員になってからも、常務、専務と出世を狙っている様子でしたが・・・ダメでした。平の役員のまま退職されました。

理由はふたつ。

役員の中で評価が低かったことと、体調を崩されたことです。

特にかわいそうだったのは、同じタイミングで役員になった同期があっという間に専務になって、その専務と折り合いが悪かったことです。

経営会議ではあからさまにバカ呼ばわりされていたそうです。

自他ともに認める優秀な人で誰よりも早く出世してきたので、これまで人からバカ呼ばわりされたことなど一度もない人です。

プライドが高く不遜な人だったので、耐えがたい屈辱だったと思います。

どうも体調を崩されたのも、専務のパワハラが原因との噂もあります。

 

ところで「ピーターの法則」ってご存知ですか?

ピーターの法則
組織構成員の労働に関する社会学法則

  1. 能力主義の階層社会では、人間は能力の極限まで出世する。したがって、有能な平(ひら)構成員は、無能な中間管理職になる。
  2. 時が経つにつれて、人間はみな出世していく。無能な平構成員は、そのまま平構成員の地位に落ち着く。また、有能な平構成員は無能な中間管理職の地位に落ち着く。その結果、各階層は、無能な人間で埋め尽くされる。
  3. その組織の仕事は、まだ出世の余地のある人間によって遂行される。

引用:Wikipedia

 

どんなに優秀な人でも出世したら無能になるという、身もふたもない法則です笑

まさに、この役員はピーターの法則通りだったのです。

下から見れば「役員にまでなったんだからいいじゃん」とも思えますが、本人がどんな気持ちで会社を去ったのかはわかりません。音信不通になりました。

少なくとも、この人を見る限りでは、「役員にまで出世していいな、うらやましいな」とは思えないです。

「出世」と「人生の幸せ」は無関係

ここまでの話で、

 出世してないけど幸せそうな人

 出世したけど幸せそうじゃない人

が登場しました。

 

「やっぱり出世なんてしない方がいいよね」

みたいな、出世あるある話がしたいわけではありません。

 

「出世するのとしないのと、どっちが幸せ?」

なんて話もよく耳にしますが、結局のところ、出世は人の幸せとはあんまり関係ない、と私は思っています。

会社なんて、所詮人生の一部でしかありません。

その一部だけを切り取って、人生が幸せかどうかは語れないですよね。

出世できて、幸せな人もいれば不幸な人もいます。

出世できなくて、不幸な人もいれば幸せな人もいます。

出世を考えてもしかたない理由

私は、自分の出世についてはあまり深く考えないようにしています。

出世のことを考えてもしかたないからです。

人に、どっちがいいとかおススメもしません。できません。

30年近く順調に出世街道を歩いている私ですら、結局そう思うのです。

 

理由はふたつ。

どうすれば出世できるのかわからない

いつか必ず出世をあきらめる日がくる

 

わが社の場合は、長期欠勤とか懲戒処分とかよほどのことがない限り、管理職の入り口までは昇格試験が順番にまわってきます。

頑張って仕事して成果を出しさえすれば、誰にでも管理職に昇格するチャンスがあります。

でも管理職になってから先は「昇格試験」はありません。役員による協議で決定されます。

もちろん、役員クラスが協議して決定しているので、ちゃんとした理由があってのことだと思いますが、下の人間からはよくわかりません。

教えてももらえません。

昇格のクライテリアは謎です

私も管理職の中では上の方ですが、今のポジションに昇格した理由は未だにわかってません。

いきなり役員に呼ばれて、口頭で申し伝えられただけです。

『鬼滅の刃』みたいに「鬼を50体倒せば柱に昇格できるよ」と分かりやすいクライテリアでもあれば、「後10体倒せばいける」とか、出世について考えることもあるでしょう。

でも、どうすれば出世できるのかわからないので考えても仕方ない。

日々とにかく自分を鍛えて、新しい型を覚えて、目の前の鬼を一体一体倒していくしかありません。

 

また、サラリーマン究極の出世目標は社長の椅子ですが、ほとんどすべての社員はその椅子に座ることなく会社を去っていきます。

大企業ならどこもそうだと思いますが、係長、課長、部長・・・と役職が上がるにつれて、そのポジションの数は劇的に減っていき、最終的には社長の椅子ひとつです。

従業員が10万人の大企業でも、10人の小さな企業でも、社長の椅子はひとつしかありません。

つまり、社長になれない限り、どこまで出世しても、たとえ副社長にまで登りつめても、

誰しもいつか必ず出世をあきらめる日が来る

ということです。

会社が、

「あなたはこれ以上出世はできません」

なんて、プロ野球チームみたいに戦力外通告はしませんから、あきらめるということは、自分で自分に引導を渡すことになります。

「定年まであと2年、俺もここまでかなぁ・・・」と。

仮に社長になれたとしても、それで出世欲がおさまるのかどうかは、なってみないとわかりません。トランプ元大統領がいい例です。

「出世したい」と頑張って働いても、いつかは出世をあきらめる日がほぼ確実にやってくる・・・となれば、出世のことを考えても明るい気分にはなれません。

考えてもしかたありません。

青葉

なるようにしかならないと割り切って、与えられた仕事を頑張るのが良きかと

「点」と「点」をつなぐ

出世を目指すか目指さないか

ワーク(仕事)重視かライフ(プライベート)重視か

そんな二者択一の考え方は、自分の人生を不自由にしてしまうと思います。

両方ひっくるめて人生を考えれば、出世できようができまいが関係ありません。

 

元アップルCEOスティーブ・ジョブズの名言で「Connecting the dots」という言葉があります。

将来のことなどわからないので、目の前の楽しそうなことに飛びつけばいい。それらが「点」となり、いつか将来「線」となって人生を形作っていく

というお話です。

この話は「好きなことして生きていけばいい」という、成功したYoutuberが言いそうなきれいごとではありません。

いろんなことに興味を持って手を出した方が、人生の可能性が広がるということです。

好きなことだけやって食っていけるならそれはステキですが、人生はそんなに簡単ではありませんよね。

でも、将来の可能性を広げることは誰にでも確実にできます。

 

だから私は、出世したいとかしたくないとか、仕事とプライベートどっちを優先するか、とかじゃなくて、この「点」を増やすことだけを考えればいいと思っています。

「出世しない生き方を選ぶ」とか「仕事よりもプライベートを重視する」とか、二者択一の選択をして、どちらかの「点」を捨てるよりも、何も考えずに両方の「点」を自分のものにしていく方が、人生の可能性は広がります。

「出世したくない若者たち」をどう思いますか?

出世に対する考え方は、人それぞれで、ネットを見てもいろいろな話題や見解があがっています。

その中でも注目を浴びているのが、

「出世したくない若者の存在」

でしょうか。

いや、注目しているのは中高年だけであって、若者の間ではこれが普通のことなのかもしれません。

 

そんな若者を否定する中高年もたくさんいますが、

「否定する前に反省しようよ」

と言いたくなります。

実際、私のまわりにも管理職への昇格試験を辞退した社員が何人かいます。

それなりに本人が考えて出した結論なので否定はしません。

でも管理職として「管理職になりたくない」という話を聞くのは、正直つらいものはあります。

「あんたみたいにはなりなくない」と言われているような気がして・・・

 

今は個人でもスマホひとつでお金が稼げる時代です。

いろんなことを我慢してまで、ひとつの会社に勤め上げなくても、他に選択肢がたくさんあります。

「出世したくない若者の存在」が時代の必然だと考えれば、問題は、

「若者をやる気にさせられない会社や管理職」

なのでしょう。

会社側の人間としては情けない話です。

 

われわれ中高年も、いつまでも自分の古い価値観にしがみついていてはダメです。

時代に取り残された中高年は、否定する側ではなく否定される側です。

 

中高年サラリーマンも、会社の外で「点」をたくさんつくるべきだと思います。

新しい趣味に手を出してみたり、資格に挑戦してみたり、できることは無限にあります。

その選択肢の広げ方を、若者から学びましょう。

そうして作った「点」が、どこかで結びついたとき、

スマホひとつでお金が稼げるチャンス

が訪れるかもしれません。

 

出世するとか、しないとか

仕事(ワーク)優先とか、プライベート(ライフ)優先とか

そんなことを考える前に、他人のことをどうこう言う前に、両方食べてしまえばいいだけです。