賀詞交換会とは、企業や団体が、日ごろお世話になっている取引企業や関連団体などの経営者をご招待する新年のパーティです。

「新年交礼会」とか「新年互礼会」という呼び方もされています。

まだ日本で新型コロナ感染者が確認されていなかった2019年11月には、トヨタ自動車とその関連部品メーカーであるデンソーとアイシン精機が、参加企業の負担軽減を目的に中止することを発表しました。

そして、今年2021年(令和3年)は、新型コロナの影響を受けて、ほとんどの企業や団体で中止が発表されました。

新型コロナが落ち着いたら、また賀詞交歓会は復活するのか?

あるいはトヨタ自動車に倣って、このまま消えていくイベントとなるのか?

いったいこれからどうなるんでしょうね。

賀詞交換会なんてやめたほうがいい?

賀詞交歓会は、慣例的に大勢の人が出席します。大企業になると、おそらく出席者は1000人を軽く超えるものと想像します。

招待されるのは経営者ですが、そのかばん持ちで同行する人を含めるとかなりの人数です。

この大人数が、たった数時間のパーティのために世界中から大集合するのです。しかもみなさん多忙な経営者です。

大企業の社長ともなると、毎年1月は招待したりされたりと、賀詞交換会にかなり時間を使っていると思います。

主催する側のコストもバカになりません。会場を準備したり、料理を用意したりと、お金もかかりますしいろいろ大変です。

日本を代表する大企業のこの判断は、きっと誰しもが納得するものだと思います。

企業

トヨタさんもやめたんだし、うちもやめるか?

たぶんこのように考えていた企業は少なくないと思います。

そして新型コロナの影響を受けて、否が応でもどこの会社も中止することになりました。

私の予想では・・・新型コロナが落ち着いても、このまま止めてしまう会社が多いのではないかと思います。

きっとどこの会社も止めたくても止める訳にもいかず、悩んでいたところに、新型コロナ。

リモートワークが当たり前になったのと同じように、このような悪しき日本の慣習イベントは、嬉々として止めちゃうんじゃないかなと。

個人的には止めるのに1票。

でも、少し引っ掛かるんですよ。

今、ビジネスの現場では、新型コロナのせいで(おかげで)、いろいろな発見をしています。

リモートワークも以外といけるじゃん、とか、新しい気づきもたくさんあります。

止めてみたけど問題ないじゃん、っていう仕事もたくさん見つかって、そのひとつが賀詞交歓会です。

もうこういう仕事って、今では「止めるのが絶対正義」みたいな風潮です。

止めるのはいいんです。当然です。

でもこれまでやってきたことを止めるときは、安易に止めるのではなく、よかったことは残して、「進化」させていくべきこともあるんじゃないかな、と思うのです。

私も少々ひねくれているのかもしれませんが。

賀詞交換会のメリット

私はいつも自社の賀詞交換会に出席しています。

運営については、総務とか調達部門の人がやるのですが、大勢の招待者の話相手として、部外者の管理職も呼ばれることがあります。

毎年「ああ、今年もか・・・めんどくさいな・・・」と思うのですが、行ったら行ったで楽しかった、というのが正直な感想です。

普段会えない人に会える

わが社も一応大企業なので、毎年賀詞交換会には「産業界の大物」が招待されます。

そんな大物社長クラスになるとなかなか会う機会も少ないので、毎年賀詞交換会でしか顔を合わせない社長さんもたくさんいらっしゃいます。

話し込むほどの時間はありませんが、年に一度とはいえ少しでも顔を合わせて、一言あいさつを交わす意味は大きいです。

やはりビジネスは人が基本です。少し顔を合わせているだけでも、お互い相手を覚えていて、久しぶりにあってもフレンドリーに会話できます。

日経新聞に名前がよく出る人たちなので、「あの記事見ましたよ」なんて話もでき、いろいろと裏話なんかも聞けたりするんです。

お酒も少し入りますし、普段会話することが難しい産業界の神々と、このような会話が楽しめるのは賀詞交換会しかありません。

もうひとつ、個人的に大きなメリットがあります。

それは、自社の経営陣と会話できるということです。

昔、私の直属上司だった人が、大出世をしてしまい、なかなか会えない、話しかけられない、といったときに、この賀詞交歓会の前後は、話しかけるチャンスなんです。

自社の状態がわかる

企業には景気のいい時もあれば悪い時もあります。

私もリーマンショックの頃から毎年賀詞交換会に出席していますが、ひとつ気づいたことがあるんです。

出席される取引企業の社数、人数、役職が、どうもわが社の業績に比例しているような笑

業績がよくなればなるほど賑わっています。あるいは、業績がイマイチでも、業界で話題になったときなんかも賑わいます。

出席者の顔ぶれも要チェックです。業績が悪いときは、副社長や専務クラスが代理出席することが多いです。社長本人は来ないという笑。

つまり、賀詞交換会に出席される方々の様子は、自社の人気バロメーターなのです。

バロメーターという意味では、2020年の賀詞交換会ではSDGsバッジをつけている社長さんが多かったですね。

特に金融業界の方はほとんどみなさんつけてました。

SDGsに関心のある私なので、当然突っ込みまくったのですが、「サステナブル・・・なんでしたっけ?」って言う社長さんもいましたね。当時は。

賀詞交換会のデメリット

もちろん、費用と時間は大きなデメリットです。

短い時間のパーティですが、移動時間を含めるとかなりのコストです。

特に社長クラスとなると、時給は桁違いに高い笑

招待された方は、「賀詞を交換するため」にわざわざ来ているので、わが社の社長や幹部に一言あいさつ無しには帰れません。

と言っても、帰りの飛行機や新幹線の時間もあるのでケツカッチンです。

ひとりでも多くのわが社の経営陣や幹部にあいさつして顔だけ見せて、サッサと帰りたいのです。

賀詞交換会が始まる時間となり、会場の扉が開かれた瞬間、何百人というかばん持ちの大人たちが、猛ダッシュで会場に飛び込んできます。

そして、わが社の社長や役員の前に列を作ります。行列に並ぶことができたら、社長に電話して、居場所を連絡するのです。

アイドルの握手会みたいな光景です。

 

無事、招待された方々が、わが社の社長や役員に顔見せをすまして、「飛行機の時間までもう少し余裕あるな」といったときが、私の出番となります。男芸者としての本領発揮です。

終わった後は、さすがに私も疲れ果てますが、大勢の産業界の神々とお話できるのは、サラリーマン冥利につきるものです。

賀詞交換会の是非

とにかく大企業の賀詞交換会は、主催する側も招待される側も大変です。

毎年終わった後は全員ぐったりです。

でも、得られるものも大きい賀詞交換会。人と人をつなぐ賀詞交換会。

ZOOMでリモート開催することも、生配信することも今では簡単です。

やめたところで、ビジネス環境や業績が変わるものでもないでしょう。

でも私は、たとえ軽く挨拶を交わすだけであっても、日本の産業を支える経営者の皆さんの顔を見る(毛髪の変化も見る笑)という、リアルなコミュニケーションも大切だよな、と思うのです。

コストがかかるとか、リモートでいいじゃんとか、頭では理解できるのですが、少し寂しさも感じるのです。