
今年もわが社の賀詞交換会に行ってきました。
賀詞交換会とは、企業や団体が、日ごろお世話になっている取引企業や関連団体などの経営者をご招待する新年のパーティです。
「新年交礼会」とか「新年互礼会」という呼び方もされています。
この記事では、その是非とメリット・デメリットについて、少し考えてみたいと思います。
賀詞交換会なんてやめたほうがいい?
令和2年は、トヨタ自動車とその関連部品メーカーであるデンソーとアイシン精機が、賀詞交換会を中止しました。
招待する取引企業の負担を軽減するため、と発表されていました。
この辺の大企業になると、おそらく出席者は1000人を軽く超えるものと想像します。招待されるのは経営者ですが、そのかばん持ちで同行する人を含めるとかなりの人数です。
これだけの人数が、たった数時間のパーティのために世界中から大集合するのです。しかもみなさん多忙な経営者です。これは非常に大きなコストです。
大企業の社長ともなると、毎年1月は招待したりされたりと、賀詞交換会にかなり時間を使っていると思います。
主催する側のコストもバカになりません。会場を準備したり、料理を用意したりと、お金もかかりますしいろいろ大変です。
日本を代表する大企業のこの判断は、きっと誰しもが納得するものだと思います。

トヨタもやめたんだし、うちもやめるか?
たぶんこのように考えている企業は少なくないと思います。
そこは各企業の判断になりますが、コストのことばかり考えて、安易に中止してしまうのはいかがなものか、と私は考えています。

古いビジネス習慣ってすぐに否定されちゃうよね
賀詞交換会のメリット
私は毎年、自社の賀詞交換会に出席しています。
毎年「ああ、めんどくさいな・・・」と思うのですが、行ったら行ったで楽しかった、というのが正直な感想です。
普段会えない人に会える
わが社も一応大企業なので、毎年賀詞交換会には「産業界の大物」が招待されます。
社長クラスになるとなかなか会う機会も少ないので、毎年賀詞交換会でしか顔を合わせない社長さんもたくさんいらっしゃいます。
話し込むほどの時間はありませんが、年に一度とはいえ少しでも顔を合わせて、一言あいさつを交わす意味は大きいです。
やはりビジネスは人が基本です。少し顔を合わせているだけでも、お互い相手を覚えていて、何かあったときに親身になることができます。
私のように長年参加していると、部長時代に知り合った方が社長になってるパターンもあります。

そのくらいの仲になるとLINE交換します笑
今年のわが社の賀詞交換会では、元日産の役員をされていた旧知の方と久しぶりにお会いし、ゴーンさんの裏話をいろいろと聞くこともできました。とても記事にできる内容ではありませんが笑
それと、会社がつぶれかけて、日経新聞でも連日報道されていた会社の社長とも会いました。この人も昔から知っています。

思わず「あ、首の皮つながってますね!」なんて言ってしまった笑
お酒も少し入りますし、普段会話することが難しい産業界の神々と、このような会話が楽しめるのは賀詞交換会しかありません。
もうひとつ、個人的に大きなメリットがあります。
それは、わが社の経営陣と会話できるということです。
私は、元上司が強烈に出世していく、という強運に恵まれており笑、多くの経営陣が元上司だったりします。でも中間管理職である私では、日常においては昔のように気楽に話しかけることなどできません。
ところが、賀詞交換会の始まる前と終わった後では、そんな神々に近づいて話しかけることができます。

お疲れ様です!もう偉くなっちゃったから今しか話しかけるタイミング無いっすよ~
なんて軽口が叩けるのです。
自社の状態がわかる
企業には景気のいい時もあれば悪い時もあります。
私もリーマンショックの頃から毎年賀詞交換会に出席していますが、ひとつ気づいたことがあるんです。
出席される取引企業の社数、人数、役職が、どうもわが社の業績に比例しているような笑
業績がよくなればなるほど賑わっています。あるいは、業績がイマイチでも、業界で話題になったときなんかも賑わいます。副社長や専務の代理出席ではなく、多くの社長が直々にやって来ます。
つまり、賀詞交換会に出席される方々の様子は、自社の人気バロメーターなのです。

なんだかんだ言って、みんなちゃっかりしてる笑
バロメーターという意味では、今年はSDGsバッジをつけている社長さんが多かったですね。去年はまったく見なかったです。
特に金融業界の方はほとんどみなさんつけてました。
SDGsに関心のある私なので、当然突っ込みまくったのですが、「サステナブル・・・なんでしたっけ?」って言う社長さんもいました笑
賀詞交換会のデメリット
もちろん、費用と時間は大きなデメリットです。
短い時間のパーティですが、移動時間を含めるとかなりのコストです。
賀詞交換会ではいつも異常な光景が見られます。

オッサンにオッサンの行列ができるのです笑
招待された方は、「賀詞を交換するため」にわざわざ来ているので、わが社の社長や幹部に一言あいさつ無しには帰れません。
と言っても、帰りの飛行機や新幹線の時間もあるのでケツカッチンです。
ひとりでも多くのわが社の経営陣や幹部にあいさつして、サッサと帰りたいのです。
賀詞交換会が始まる時間となり、会場の扉が開かれた瞬間、何百人というかばん持ちの中間管理職が、猛ダッシュで会場に飛び込んできます。
そして、わが社の社長の前に列を作ります。行列に並ぶことができたら、手を上げたり電話して、自社の社長に居場所を連絡するのです。長蛇の列です。
私は毎年思うのです。

AKBの握手会ならわかるけど・・・なんだこの光景は・・・
賀詞交換会が始まって前半戦は、うちの社長や副社長のような大物に行列ができます。
みなさん、ただ黙って行列にじっと並ぶのです。

産業界の神々が・・・なんて時間のムダ・・・
そして後半戦。
今度はその神々たちが、私のような中間管理職に列を作るのです笑
もちろん応対するのが私の仕事であり、あいさつを交わします。でも久しぶりに会った人とは会話が盛り上がって、少し話し込んでしまうこともあります。
そんなときに、チラっと行列を見たら、日本を代表する企業の社長さんが難しそうな顔をして私の行列にいたりするのです。

あ、あ、じゃあまた!
すみません、お待たせしました!あけましておめでとうございます!
忙しい社長さんをお待たせするわけにはいきません。サッサと私と一声交わして義理を果たしたら、会場を後にしたいのです。

マジで神経すり減ります
パーティなので、ビュッフェスタイルで食事も出ます。
でも、こんな状況なので、誰も食べません。食べるヒマなんかありません。
毎年、大量に料理が余るのです。食品ロスです。
これはうちの企画部門に強くダメ出しをしておきました。
賀詞交換会の是非
とにかく大企業の賀詞交換会は、主催する側も招待される側も大変です。
毎年終わった後はぐったりです。
でも、得られるものも大きい賀詞交換会。人と人をつなぐ賀詞交換会。
IT技術を使えば遠隔開催なんかも可能でしょう。
やめたところで、ビジネス環境や業績が変わるものでもないでしょう。
でも私は、たとえ軽く挨拶を交わすだけであっても、日本の産業を支える経営者の皆さんの顔を見る(毛髪の変化も見る笑)という、リアルなコミュニケーションを大切にしたいな、と思うのです。

日本の産業を支える経営者のみなさんは、そんなコミュニケーションを大切にする人たちであってほしいな
この記事があなたのお役に立てたなら「いいね!」よろしくお願いします(^^)