管理職っていつも何してるの?その役割とは?|【連載】インテルに学ぶマネジメントのコツ③|『HIGH OUTPUT MANAGEMENT』

連載記事『インテルに学ぶマネジメントのコツ』の3回目になります。
管理職っていったい何やってるのでしょうか?それは「情報収集」「意思決定」「ナッジング」です。
これってなかなかわかりづらいものなんです。それぞれを詳しく解説していきます。

管理職のアウトプットとは?

 

アンディは中間管理職のグループに「管理職のアウトプットとは何か?」と質問しました。

そこでみんなが答えたのは次のようなものでした。

・判断と意見
・方向づけと指示
・経営資源の配分
・間違いの発見
・人材育成と部下の指導、教育

どれも正しく聞こえますね。

でもアンディは「そうではない」と言い切ります。

これらはアウトプットではなく、アウトプットを得るためのただの”活動”であると。

管理職のアウトプットは、管理職自身が何かやったことではなく、部下が創り出すアウトプットで測定すべきものなのです。

分かりやすく例えるなら、野球チームの監督のアウトプットは、「チームが勝つこと」であり、選手を指導したり、先発ピッチャーや打順を考えたりするのは、あくまで勝つための”活動”なのです。

管理職のアウトプットはわかりづらい

管理職のアウトプットは部下が創り出すアウトプットです。

これはたしかにもっともなのですが・・・忙しい日々、自分のアウトプットが何か?をいちいち意識しながら仕事をこなしていくのってなかなか難しいですね。

部下が創り出すアウトプット、それは自分のチームの成果、とも言えますが、これってなかなか見えづらいしわかりづらい。

実際に私も上司とこんな会話をしたことがあります。

上司2

今期、君がアピールできる成果は何かな?
今期の評定を考えてるんだけど


青葉 右

私のチームは来年ローンチするプロジェクトの費用を15%下げましたよ!
みんな頑張りました!


上司2

うーん、それじゃ君が何をやったのかわかりづらいな・・・
あ!先月君が直接交渉して40億円値引いたあの契約!これいいんじゃない?


青葉 右

いや、あれは交渉相手が役員クラスなんで私がやっただけですから・・・


上司3

でも君の立派な成果じゃないか!わかりやすくていい!


青葉 右

はぁ・・・まあお任せします・・・

私の上司は決してダメな人ではなく、私によい評定をつけようとしているだけです。誰が見てもわかりやすいアウトプットを探しているのです。

ただ、管理職というのは、アウトプットとやってることが簡単に結びつかないのです。

アンディもこう述べています。

「パパ、本当はどんなお仕事をしているの?」
こういった質問に対して、われわれはどうもうまく答えられない。
実際に何をやっているかは、しかとはつかまえにくいし、要約するのもむずかしい。
実際にしていることのほとんどはあまり重要とも思えないので、ビジネス内での自分の位置の明確化や正当化はなかなかしにくい。

これが管理職の実態なのです。

プレゼの資料を作った、新しいプログラムを作成した、といったアウトプットはとてもわかりやすいですが、これらは管理職の本来の仕事ではありません。担当者の仕事です。

では、管理職って毎日何をやっているのでしょうか?

管理職っていつも何してるの?

それは情報収集なのです。そしてたまに意思決定ナッジング

ナッジングとは、会話の中でアドバイスしたり、突ついたりすることです。

部下の持ってきた資料を見て、「ここはこうするべきじゃない?」「これはおかしいだろ」とアドバイスしたり、「あの契約、そろそろ納期だけどちゃんと進んでる?」と突っ込んだりすることです。

青葉

ナッジングは部下に煙たがられる行為だね笑
でも逆にこれをやらない管理職はダメだと思うよ

情報収集と情報の流し方

情報収集もやり方はたくさんあります。

メールを見たり、新聞やレポートを読んだり、社内外の人とコミュニケーションしたり、会議に出て話を聞いたり、立ち話したり・・・

私の1日も振り返ってみれば、ほぼこんなことに時間を使っています。

アンディは言います。

マネージャーは情報を集めるだけでなくて、情報の提供源でもある。

管理職というのは、じっとしていても勝手に情報が集まってきます。嫌われてたり、干されてたりしない限りは笑

管理職に何かを期待して、何かを求めて、多くの人がせっせと情報を提供してくれるのです。すべての期待に応えられるわけではありませんが、それでも情報は集まります。

それらの情報は、自分の部下だけではなく、他部門や関係者にもしっかりと伝えるのが管理職の重要な役割でもあります。

管理職だからこそ知り得た情報をどう扱うのかは、管理職の腕の見せ所です。

ダメなパターンはだいたいこの2つです。

自分だけで情報を独り占めする

なんでもかんでも情報を垂れ流す

どっちも極端なパターンではありますが、この手の管理職は仕事ができないダメな人たちです。

私の会社では独り占めする人が多いです。

青葉 右

なんでこの情報を部下に展開しちゃダメなんですか?


上司5

情報が社外にもれちゃいけないからダメだ


青葉 右

いや社外じゃなくて、部下に教えたいんですけど


上司5

教えてどうするんだ?


青葉 右

どうもこうも・・・これを知らないと自分が何の仕事やってんのかわからないですよ


上司5

とにかく展開しちゃいけないことになってるからダメだ!

これまで何度このようなやり取りをしたことか・・・

もちろん、上から展開を止められている情報でも、私の判断で、私の責任で、必要と思えばちゃんと展開するようにしています。私の部下もバカじゃないので、機密管理くらいできます。

人というのは、自分しか知り得ない情報に優越感を感じることもあります。でも、そんなことで気持ちよくなっているようでは管理職失格ですね。

逆のパターン、なんでもかんでも情報を垂れ流すのもアウトです。

よほど情報に対する感度が低いのか、あるいは部下に何でも話すオープンマインドの上司でも演じて好感度を上げたいのでしょうか。

そんなことで部下の機嫌を取るのではなく、ちゃんと仕事をさせて、アウトプットを出させることによって機嫌を取るべきですね。

情報を流すときには、チームの仕事を成功に導くという意志と、アウトプットのイメージをしっかり持って流すべきです。

しっかりと考えた上で情報を流したら、後は部下に権限移譲をします。方向性と十分な情報を与えて任せるのです。

これをやって初めて管理職は個人の力以上のアウトプットを出すことができるのです。

1+1を2以上にすることができるのです。

意思決定とナッジング

そして管理職は、たまに意思決定をします。状況によっては朝から晩まで意思決定する日もありますが、意思決定というのは毎日朝から晩までやっているわけではありません。

たまに、です。

たとえば昨日の私ですが、いくつか意思決定を行っています。

・関係者でもめている案件について関連部門の部門長による会議開催の決定

・とある案件の発注先企業を決定(部下の提案を承認)

・もうすぐ異動となる部下の行き先決定

・インターンの学生を世話する担当者の決定 などなど

意思決定の多くは、実際は数秒から数分しか時間はかかっていません。ナッジングを含めても、1日8時間のうち1時間も時間を使っているかどうか・・・。

だから、たまに、なのです。

ただ、意思決定するにしても、情報が必要です。正しい意思決定を迅速に行うには、より多くの情報が必要なのです。

部下から意思決定を求められたのに、自分の情報不足が原因で意思決定できない、という状況は避けなければなりません。

青葉

あの人は何も決めてくれない!なんて言われないようにしないとね

だから、やっぱり情報収集が一番大切なのです。

ナッジングにしても、部下を突つきながら(しばきながら笑)、結局自分の目指す方向に寄せていきますので、明確な意思決定ではありませんが、遠回しな意思決定であるとも言えます。

だから結局ナッジングするにしても、情報が肝となります。

ちなみに私の座席配置。

つねに職場の一番中心にデスクを置きます。たまに部下には席替えをさせてますが、私は動きません。

20人程度の職場なので、中心に陣取っていれば、みんなの会話が耳に入ってきますし、椅子をくるりと回転させれば、全員と会話できます。

常に情報を収集しながら、適切なタイミングでナッジングができるベストポジションを陣取っているのです。

青葉

部下にしてみればまあまあうっとしい上司かも・・・
その代わり、情報とお菓子はしっかりと与えています!

(次回へつづく)

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