管理職の上手な時間管理|【連載】インテルに学ぶマネジメントのコツ⑤|『HIGH OUTPUT MANAGEMENT』

連載記事『インテルに学ぶマネジメントのコツ』の第5回目です。
組織におけるインフルエンサーである管理職は、上手に時間を管理することによって、より大きなアウトプットを生み出すことができます。
今回の記事では、管理職の時間管理について、私が日々実践している方法を実例を交えながら解説します。

自分の時間をコントロールする

仕事のアウトプットを増やそうと思えば、単純に自分自身の作業スピードをアップするのが一番簡単です。

青葉

そして長時間労働笑

当たり前のことですね。

でも今はそんな時代ではありません。

今求められているのは、限られた時間で効率的にアウトプットを出し続けることです。

特に多くの人に影響力を持つ管理職は組織におけるインフルエンサーです。

自分ひとりが一所懸命手を動かしてアウトプットを出すのではなく、ひとりでも多くの人にインフルエンスすることによってアウトプットを最大化する。それが求められる存在です。

そのためには、インフルエンスするための時間を少しでも稼ぐ必要があります。

まわりに流されて気が付けば1日が終わっていた、なんてことはあってはなりません。

管理職のアウトプットを大きくするためには、自分自身の時間をコントロールすることがとても重要なのです。

ここで思い出していただきたいのは、第1回目でお話したモーニングセットの話です。

モーニングセットを準備するときは、どうやっても一番時間がかかってしまう、でも避けては通れない「卵をゆでる」作業を中心に、全体の流れを組み立てるのが、一番効率的でしたね。

これは一般社員も管理職も同じです。効率的にアウトプットを出すためには、一番時間がかかる仕事や、定例会議などの動かせない仕事を中心に、全体の流れを組み立てるのが理想です。

ところが実際はどうでしょうか?

ビジネスの現場では、突発的なことが多いですね。せっかく全体の流れを組み立てたとしても、突発的な会議や対応によって、コトは思い通りに進みません。

青葉

インフルエンサーがインフルエンスされちゃいけない笑

時間がコントロールできない管理職

私の会社にも、まわりに翻弄され時間のコントロールができていない管理職がいます。

とにかくお呼びがかかればすべての会議や面談に顔を出す。朝から晩まで席にいないのです。

フットーワークが軽く面倒見のよい上司ですね。人柄もいいんです。

でも彼の職場は、まわりと比べて圧倒的に残業時間が多く、そのわりにはアウトプットが少ないのです。納期遅れも多い。

朝から晩まで席を離れている彼が自席に戻るのは定時を過ぎてからとなります。そこからやっとメールのチェックをしたり、部下とゆっくり話せるようになります。

上司に直接相談したいことがある部下たちは定時を過ぎても彼を待っています。

やっと席に戻ってきていろいろと報告や相談をします。

そこでアドバイスや指示をもらいます。

定時は過ぎているのでそこで帰ってもよいのですが、多くの部下は、せっかくアドバイスをもらったのでそのまま仕事に取り掛かります。

そして上司はまたメールチェック。場合によっては残業している部下に声をかけて話を聞いたり、仕事の指示を出します。

さらに時間が経過し、さすがに部下はみんな帰宅しましたが、上司はまだメールの処理が終わりません。バンバン返信メールを打ち続けます。

翌朝、出社してメールの受信トレイを開いた部下は、上司からの大量の業務指示メールを朝っぱらから目にするのです。

月曜日の朝はもっと悲惨です。この上司は土日にも自宅で仕事をするので、月曜の朝は上司からのメールが桁違いの量です。

人柄もよくフットワークの軽い仕事熱心な上司ですが、あなたはこのような職場で働きたいと思いますか?

青葉

1年間だけですが、この人は私の上司だったことがあります
ああはなるまい、とよい勉強になりました笑

青葉の時間活用法

具体的に私のやり方を紹介します。

青葉

これが正解だとは思ってません
いや、かなり間違いに近いかもしれません笑

まず私の場合、カレンダー(会社で共有しているアウトルック予定表)に、あらかじめいくつかの予定を入れています。

毎日午前に1時間、午後に2時間、「報連相タイム」を設けています。毎日です。

「報連相タイム」は部下とのコミュニケーションのための時間ですが、メールの処理など私が机に座って何かをする時間も兼ねています。

それと、毎週あるいは毎月必ずやらなければならない作業も、あらかじめ予定表に入れています。

例えば「週報の作成」「月末の伝票処理」などです。

これらを私は「ブロックタイム」と名付けています。

そしてブロックタイムには、部下が会議や面談を設定することを原則禁止しています。まさに予定をブロックしているのです。

先方の都合などもあり、どうしてもブロックタイムに予定を入れざるを得ない場合に限り、私の許可を得た上でブロックタイムを開放します。

しかし簡単には許可しません。私の「なぜなぜ攻撃」を食らうことになります笑

部下女5

明日報連相タイムにA社との面談をいれたいのですが・・・


青葉

うん、いいけどなんで?


部下女1

明日中にA社から回答をもらわないとダメなんです


青葉

でもその仕事は先月指示したんだよ?なんで今になってドタバタすんの?


部下女6

すみません、先方に依頼したのが先週なんです・・・


青葉

問題はそこな~笑

1日に3時間も予定をブロックしておいて、部下に簡単に予定を入れさせないなんて、かなり意地悪な上司ですね笑

まあここまでやる人は少ないと思います。

青葉

だからこれが正解だとは言いませんよ!あくまで私のやり方

私の狙いは2つあります。

部下を育てるための時間管理

ひとつは、部下の計画的な仕事の進め方と責任感を鍛えるためです。

私も社内外の人気者なので笑、予定はすぐに埋まってしまいます。私の予定を確保しようと思えば、遅くとも数日前には予定をおさえておく必要があります。

あえて私が制約となることによって、部下は私の予定をおさえるところから仕事を組み立て、それに向けて計画的に仕事を進める習慣が身につきます。

こんなヘンクツな私なので、「表敬訪問」みたいな面談の要望は簡単には受けません。そんな話を右から左に私に持ってきたら、私の「なぜなぜ攻撃」にさらされます。

取引企業とのコミュニケーションを否定しているわけではありません。

どうせ会うなら何か意味のある時間にしたいのです。景気がどうとか、天気がどうとかいう話だけするのはつまらないからです。

せっかく私に会いに来てくれた人、すべてのみなさんに「おみやげ」を持って帰ってもらいたいのです。

青葉

私の名刺を持って帰るだけで十分なおみやげになる人もいますが笑

それがわかっている部下は、

部下4

せっかく来られるのなら上司と新しい企画の話でもしませんか?


部下女2右

ずっと困ってるあの件!上司に相談してみませんか?


と、面談を要望してきた相手に提案するようになるのです。

社内会議にしても、とりあえず来てくれ、みたいな訳のわからない会議は拒絶します笑

部下がそんな会議の出席要望を持ってきたら、やはり「なぜなぜ攻撃」です。

大した話ではない会議なら、部下も私に説明するのがめんどくさいので笑、自分で責任持って対応するようになります。

出席者が管理職ばかりの会議だと、さすがに私に救いを求めてきますが、会議の目的やアウトプットをしっかりとイメージしてから私に相談するようになります。

私に会いたいという他部門や取引企業に対して、部下自身が私の代理として、チームの代表として、責任感を持って対応するようになります。

青葉

内心、私のことをめんどくせー上司だと思ってるんでしょうね笑

さらによい事がもうひとつあります。

それは、私がホイホイと簡単に面談や会議に顔を出さないためレアキャラ化するんです。

たまに顔を出すから「重み」が生まれます。

驚き顔

え?今日はめずらしく青葉さんが出席している・・・何かあるのか??

この「重み」を、部下にはうまく活用するように、自分の目的を達成するために上司をうまく使うように日頃指導しています。

青葉

かしこく私を使ってくれる部下は大好きです!
どんな役でも演じてあげます笑

管理職は「竜の頭」

もうひとつの理由は、私自身が1日の予定に余裕を持たせたいからです。

私は「管理職は竜の頭」だ、とよく言ってます。管理職が首を少し動かしただけで、尻尾は大きく振れるのです。

管理職がきまぐれで放った一言でも、多くの部下が動くのです。

その一言の重みを理解し、そして一言を発するときにはじっくりと考えて、ベストなタイミングを探るべきです。

青葉

「竜の頭」はなるべく動かさない方がいいんです

管理職の仕事は手を動かすことではありません。ひたすら情報収集をして、ここぞというときにレバレッジをかけることによって、チームとしてのアウトプットを最大化することです。

管理職がドタバタしていては、情報収集もできませんし、レバレッジをかけるタイミングも逃してしまいます。

「竜の頭」は、常に頭をフル回転させながら、獲物(レバレッジをかける相手とタイミング)を虎視眈々と狙うのです。

ただ、管理職も元々は優秀な「選手」だったわけです。

元選手としては、じっとしているのは耐えがたいときもありますよね。バットを振りたい、ボールを蹴りたい・・・部下にいいとこ見せたい・・・

でも、自分が「竜の頭」であるという自覚を持って、そういう衝動を抑えることも、管理職の重要な資質であると私は考えています。

青葉

どうしてもバット振りたいときはちゃんと部下に断ってからね

青葉の残業

管理職というのは意思決定権を持っていますので、いろんな部門や取引先から、緊急案件がよく飛び込んできます。「今日決めないといけないので何とか時間ください!」みたいなことが日々起こるのです。

役員から急な呼び出しを食らったり、役員クラスが出席する会議に代理出席を頼まれることもあります。

海外から表敬訪問で来られる方もいます。

さすがに「ブロックタイムなのでダメです」とは言えません。

私の出張や外出が重なった場合は、ますます部下は私の時間が確保しづらくなります。

そんなときには、ブロックタイムを部下に開放します。

青葉

明日はブロックタイム解放するよ!予定入れまくっていいよ!

そうすると、私自身が作業をしたりメールを見たりする時間が削られます。

そんなどうしようもないときに、私は残業します。

めずらしく私が残業していると、部下がニヤニヤしながらお菓子を持って寄ってきます。

部下8

あれ~?めずらしく残業ですか?笑


青葉

うるせー、早く帰りたいからあっちいけ!


部下8

ははは、お菓子でもどうぞ!あ、〇〇さんもどうぞ!

たまに私が残業すると、職場の雰囲気がよくなるという笑

アンディはこう述べています。

管理職の仕事は大部分が予測できる。したがって、できる仕事を予測して、その準備態勢を整えておくことが、経営管理上の仕事で経験する、どうも小間切れ仕事ばかりでとりとめがないという感じと現実のギャップを極小化するための常識であり、重要な方法なのである。

管理職としては、頻繁に現れる中断者に対して、問題の解決を待てるかどうか、はっきり決めさせるように仕向けるべきである。

青葉

ホイホイと部下に時間をくれてやるのは考えものってことだね

(次回につづく)

この記事で使っている教科書はこちら

『HIGH OUTPUT MANAGEMENT』
アンドリュー・グローブ(元インテル会長)著
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